静かな図書委員・秘密の裏配信
結局、ハーレム彼女候補は見つからないまま幕を閉じた狂乱のお見合い大会。
今日は放課後、図書室の整理を頼まれている。
もちろん一人で…という訳ではなく、クラスメイトで図書委員のシズカさんと一緒だ。
名前の通り、クラスでも静かで、おとなしい彼女。
黒髪を三つ編みにし、いつもスマホをポチポチと弄っている。
周りの女子たちのようにグイグイ来ることもなく、どうやら配信などもしていないようだ。
「じゃあ、図書室に行こうかシズカさん」
「は、はいっ(ポチポチ)」
うん、やはりおとなしいな。
二人で静かな図書室へと移動しながら、俺は心底ホッとした息を吐き出した。
「シズカさんは他の子みたいに、グイグイ来ないんだな。まあ…最近は肉食系女子にちょっと疲れてたから、シズカさんみたいな子は本当に癒やしだよ!」
「あ、うん…(ポチポチ)」
「よしっ、じゃあサクサク終わらせようか。この本を棚に戻せばいいのかな?あっ、ちょっとシズカさん!重いのは俺がやるって!…ん?高い所の本棚?脚立を俺が押さえてればいいのか?」
「うん……(ポチポチ)」
「了解!しっかり押さえてるから登っていいぞ!」
言われた通り、俺が脚立の足元を両手でしっかりと固定する。
シズカさんがスカートの裾を気にしながら脚立を数段上り、高い棚へ本を伸ばした…その時だった。
「あっ、シズカ…さんっ!おっ♡おぉ〜〜〜っっ♡♡♡」
パ、パンツ見えてるぅぅぅぅぅ!!??
角度的に、脚立を下から支える俺の視線の先には、制服のスカートの隙間から覗く彼女のアンダーウェアがバッチリと収まっていた。
「っ……(猛烈な勢いでスマホをポチポチポチポチポチポチっ!)」
ラ、ラッキー!!大人しく脚立を押さえてただけでこんなご褒美が拝めるなんて!!やっぱり図書室は最高のオアシスだぜ!!
前世の男子高校生としてのスケベ心を爆発させ、俺は必死に表情(鼻下)が伸び切るのを耐えていた。
◇◇◇
しかし、当の俺は知る由もなかった。
実はこの時、シズカさんが配信をしていない…というのは完全な勘違いだったということを。
彼女の制服の胸ポケット。
そこからひっそりと覗く『二台目のスマホのレンズ』。
彼女はそこから、俺との図書室作業を【隠し撮り風】に生配信していたのだ!
そして、リエの配信のように声を出してコメント欄と話すのではなく、彼女が必死にスマホをポチポチ打ち込んでいたのは…
画面上のチャット欄で、リスナーたちと文字で『リアルタイム会話』をしていたからだった。
しかも、そのポチポチ打ち込まれるコメントは、日頃の大人しい姿からは想像もつかない『妄想全開の限界キモヲタ文章』そのものだった。
◇◇◇
シズカの裏配信コメント欄:
『主:リオタンと図書室の仕事…このまま襲われるのね…私(ポッ♡)』
『リオタン呼びwww』
『まーた始まったwww』
『でもこれがクセになるのよ!この裏配信www』
『ヲタ女子の心の中、全部代弁して言ってくれるからね!』
『リエちゃん所の公式配信では打てない変態コメントも打てるし助かりますwww』
『主:癒やしだって!アッチも癒やしてあげるぅ♡』
『うぉ〜!今日もシズカの妄想が全開だな!!』
『リオン君!癒やしとか言って完全に騙されてるwww』
『主:リオタンパンツ見てる♡めっちゃ下から覗いてる♡』
『リオン様…むっつりスケベwww』
『おっぱい星人じゃなかったの?www』
『パンツもイケます!(キリッ)www』
『主:あっ、今日、地味なパンツだった…殺して…』
『wwwwwwww』
『草』
『あっ(察し)』
『どんまいシズカwww勝負下着穿いておけばよかったのになwww』
「ふぅ…シズカさん、本戻せた?グラつかないようにちゃんと押さえてるから、ゆっくり降りてきてね」
「は、はい……(ポチポチっ!)」
『主:降りるフリしてリオタンの顔面にダイブしたらワンチャンある??』
『主、正気を保てwww』
『踏んづけちゃえwww』
大人しい図書委員のクラスメイトという癒やしの皮を被った重度妄想オタクの裏配信者に狙われているとも知らず、俺はただのラッキーハプニングに心の中でガッツポーズをかましていたんだ。




