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縁側でお茶を飲むような平和すぎる配信

「…ちょっと、そこの君。男の子が嫌がってるんだから、無理強いは良くないんじゃないか?」


「リ、リオン様!??!?」


カフェ内に叫び声が響き渡る。


強気な幼馴染女子、ユウカは、目の前に本物のリオンが現れたことで、スマホを落としそうになりながら硬直した。


一方、引きずられていた気弱男子、トモヤは、俺の背中に隠れるようにしてガタガタと震えている。


「あ、あの…リオン君…僕、女の子が怖くて…」


「大丈夫、大丈夫。無理に配信なんて出なくていいんだよ。トモヤ君だっけ?甘いもの好き?はい、このパフェ食べな」


「えっ♡う、うん!ありがとう…」


俺が自分の注文していた苺パフェをトモヤの前に置いて笑いかけると、トモヤはポッと頬を染めてパフェを頬張り始めた。


…うんうん、普通の男子高校生なんて、甘いものでも奢っておけば機嫌よくなるもんなんだよな。


俺としては「男友達に奢ってなだめた」だけのつもりだったのだが、それを見ていた幼馴染み配信者ユウカが、眉を八の字にして焦り始めた。


「ちょ、ちょっとリオン様!トモヤにそんな優しくしないでよ!アタシの幼馴染なんだからね!?」


「え?でも君、トモヤ君が嫌がってるのに無理やり配信に出そうとしてただろ?」


「うぐっ…そ、それは…」


言葉に詰まるユウカ。

俺は彼女の顔をじっと見つめて、ふっと柔らかく微笑んだ。


「でもさ。君がトモヤ君を配信に出したかったのって、ただ有名になりたいからじゃないんだろ?」


「え?」


「『カップルチャンネルやりたい』って言ってたじゃん。大好きなトモヤ君と、もっと一緒にいたいから口実を作ろうとしてたんじゃないの?」


「っっっ!??!?!」


一瞬で顔をりんごみたいに真っ赤にして、爆発しそうなほど狼狽するユウカ。


「な、ななな、何言ってんのよバカ言わないでよっ!!す、好きとかそういうんじゃ…っっ♡」


俺は女の子の素直になれない乙女心をただ指摘しただけなのだが。


すでにスマホを回していたリエの配信画面には、とんでもなく平和で尊い空間が広がっていた。


コメント欄:

『なんだこの平和な空間wwwww』

『トモヤ君、パフェ食べて「ふはぁ♡」ってなってて可愛いwww』

『リオン様、気弱男子の扱い方が優しいお兄ちゃんすぎて尊い』

『幼馴染女子、好きなん見え見えで草wwwww』

『ツンデレ女子の心理を一瞬で見抜いて落とす聖父www』

『なんかこの配信、おばあちゃん家の縁側でお茶飲んでる気分になれるわ…』

『ほっこりするwwwずっと見てられるwww』

『トモヤ!素直にユウカちゃんの気持ち受け取ってやれ!!www』



「ね?トモヤ君。女の子も素直になれなくて強がっちゃうこと、あるんだよ。ユウカちゃん、本当は君のことすごく大切にしてると思うよ」


「…っ。ユウカちゃん…僕のこと、好きなの?」


「ち、ちがうわよっ!…ちがく、ないけどっ♡」


恥ずかしさで泣きそうになりながら俯くユウカと、顔を真っ赤にしてパフェのフォークを止めるトモヤ。


激しいバトルやドタバタ劇ではなく、まるで日だまりの縁側で二人の初々しい恋を見守るような、不思議と癒やされる配信。


『【速報】リオン様、カフェで迷える幼馴染カップルを無自覚にくっつけてしまうwww』


俺のただの仲裁と気遣いは、またしても全女子リスナーの心を温かく癒やし、新たなバズリを生み出した。


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