夢のオフイベント、絶対的な約束
オフイベント当日。
俺たちが借り切ったのは、都内にある一流ホテルの大宴会場だった。
会場内は、先日の配信でスパチャを投げてくれたリスナーたちで超満員。
その中にはギャル化から戻ったクラスメイトたちや委員長、そして「アタシもスパチャ投げたし!」と、ちゃっかり参加しているマユの姿もあった。
希少な男子のイベントだというのに、会場内には殺気など一切ない。
それもそのはず、ここに来ているのは全員が俺やリエを純粋にお祝いしてくれたファンだけ。
アンチなんて一人もいない、平和で和やかな空気が満ちていた。
「いらっしゃい、来てくれてありがとう!」
受付での一人ひとり丁寧な握手に始まり、立食パーティー会場でのリクエストに応じた「あ〜ん」。
ファンとの記念ツーショット写真撮影に、配信者女子たちのチャンネルへのゲスト出演。
俺は順番に神対応をこなしていった。
会場の隅では、リエが「昔から見てくれてありがとう!」と校舎裏時代からの最古参リスナー十人と対面し、嬉しそうに涙ぐみながら談笑している。
イベントが最高潮に達した頃、俺はマイクを手にしてステージに上がった。
「みんな、今日は本当にありがとう!じゃあ、そろそろメイン企画のビンゴ大会に行こうか!ビンゴになった先着十人のお願い、なんでも一つ聞いちゃうよ。ハグでも、お姫様抱っこでもね♡」
俺が笑顔でサービス精神を提示すると、前列に陣取っていたクラスメイトやマユたちが一斉に身を乗り出して叫んだ。
「「リオン君!キスは!?キスはお願いに入らないの!?」」
「えっ、キス?うーん、キスは…ホッペなら、まあ…」
一瞬デレて考え込む俺に、袖口で見ていたリエが「ちょっとリオン!!」と怒り飛んできそうになる。
俺はそんなリエをサッと抱き寄せると、マイク越しにニッコリと微笑んだ。
「でもダメだよ唇は、リエだけだから♡」
「はうぅぅっ♡♡♡」
あまりの甘さに、リエはその場にへたり込んで顔を両手で覆った。
そして、その光景を見せつけられた会場の数百人の女子たちから、地鳴りのような歓声と叫びが巻き起こった。
「「「甘〜〜〜〜いっっっ!!!(悶絶)」」」
「キャーッ!当たったらホッペにキスしてもらう!!」
「いや唇守るリオン様イケメンすぎるでしょっ!」
「リエちゃん代わって!いや代わらなくていい末永く爆発して!!」
全女子を平等に愛でる神対応を見せつつも、一番大切な特別は絶対にブレさせない。
そんな俺の徹底した誠実さに、会場全体が幸せな熱気と祝福の拍手に包まれていった。




