彼女だけの時間、奇跡のオフイベント発表
レストランでの感動的な告白から数時間後。
俺の部屋には、正式に彼女となったリエの姿があった。
「ふふ…ふふふ♡私、リオンの彼女になっちゃった♡」
ベッドの端に腰掛け、幸せそうに頬を緩めるリエ。
その横に置かれたスマホの画面では、深夜にもかかわらず集まった大勢のリスナーたちが盛り上がっていた。
『さて、今夜も始まりました!リオン様の理性を保つ試練配信!』
『リエちゃん彼女昇格おめでとう!!』
『今夜のリオン様は賢者タイムに突入するのか!?』
『見守り隊、準備完了です!』
「みなさん、今日も集まってくれてありがとう。でもね」
俺はカメラの前に立ち、画面の向こうの数十万人の女子たちに向かって、優しく、けれどキッパリと微笑みかけた。
「今日の配信は、ここで切ります」
『えっ』
『ちょっと待って!?』
『なんで!?!?』
『理性耐久配信は?』
困惑するコメント欄をよそに、俺はカメラに顔を近づけ、少しだけ声を低くして囁いた。
「ここからは…俺と、彼女の時間だから♡」
「っっっ!??!?!♡」
顔を真っ赤にしてベッドの上で悶絶するリエ。
そして、画面の向こうのリスナーたちは、一瞬の静寂のあと、絶叫とスパチャの嵐を巻き起こした。
『ギャアアアアアアア!!!!!!』
『切るの!?!?本当に!?見せてくれないの!?!?』
『「彼女の時間♡」って言われた!!!』
『男気高すぎて無理っ!』
『画面暗転する前にスパチャ投げまくれえ!!おめでとリエ!』
『投げ銭:¥50,000』
『嫉妬しかないだろ!』
『投げ銭:¥10,000』
『投げ銭:¥500』
『バカじゃないの!?他人の初夜を祝うなんて!』
嵐のようなスパチャとコメントの通知が画面を埋め尽くす中、俺は「また明日ね」と小さく手を振り、迷わず配信の終了ボタンを押したのだった。
◇◇◇
翌朝。
リエのスマホから配信をつける。
「おはよう、昨日は配信を急に切っちゃってごめんね。で、昨日の配信、たくさんの投げ銭をしてくれた人がいたでしょ?」
俺は隣で眠るリエの髪を撫でながらスマホのコメントを見る。
『リオン様!!昨日はあれからどうなったの!?』
『二人で何したの!?!?』
『気になって一晩中眠れなかったんだけど!!』
『リエ幸せそうな顔してていいね』
相変わらずの勢いで流れるコメント欄を見つめながら、俺は本題を切り出した。
「リエと付き合うことになった報告の配信で、わざわざスパチャでお祝いしてくれた皆へ。感謝を込めて、今度『オフイベント』に招待しますね」
『…は?』
『オフイベント!?』
『生の、リアルなリオン様に会えるってこと!?』
「うん。昨日スパチャしてくれた人全員を、俺が借り切った会場に招待して、直接お礼を言いたいんだ。もちろん、彼女のリエも一緒だけどね」
俺がそう言って隣いるリエの頭を再び優しく撫でると、配信画面は昨日以上の大パニックに陥った。
『全員招待!?!?!?』
『生リオン様に会える券確定じゃん!!』
『スパチャ投げてて良かったああ(号泣)』
『投げてなかった私死亡のお知らせ』
『スパチャ投げたアカウント見せればいいの!?!?』
『行く、絶対逝く♡』
『ばか!逝くな!イク♡』
『神すぎる…聖父どころか本当の神だっ!』
「当日は握手も、写真撮影も、リクエストがあれば『あ〜ん』くらいならするよ。みんな、楽しみにしててね。もちろん配信もオッケーだから」
『えっ、500円のスパチャでもいいの!?』
『今から間に合うスパチャはありませんか!?泣』
慌てふためくコメント欄に、俺は思い出したように付け加える。
「あ、そうそう。金額は関係ないよ。それと、リエが校舎裏で配信してた時の『最古参の十人』は無条件で招待しますね。だって、あの時のリエの配信があったから、俺たち出会えたんだから」
「リオンっ♡」
『最古参の十人を大切にするとか神すぎるだろ!!!』
『古参リスナー報われすぎて涙出てきた』
『彼女の歴史ごと愛してるのイケメンすぎる…』
『500円スパチャの私大勝利!!!』
『リアルイベント行けるうううう!!』
当の俺は、お祝い金をくれた人や恩人へのお礼のファンミーティングくらいの軽い気持ちだったのだが。
逆転世界の女子たちにとっては『国宝級の男子と触れ合える奇跡の聖会』の開催決定となり、ネット上は過去最大の大バズリをしていた。




