第2話 【 本当の目的地、そして地球へ 】
アンドロメダ星雲の惑星
出身で、地球の危機を救うためITSに
乗ってやってきた、自称宇宙救世主の18歳・ガラバッチョル。
彼の左耳には、
人間の道具として忠実に従属する超AI・ピコ・99がぶら下がっていた。
地球の危機を救うべく、問題人物を地球防衛へ強制協力させていく。
ツッコミどころ満載の特製ピザを受け取りつつ、
シュールに世界を救い続ける壮大(?)な物語。
「駐車違反の切符だって!?
笑い事じゃないだろ、ピコ・99くん!
銀河連邦のレッカー代がいくらすると思ってんだ!」
「レッカー代の心配より、マスター、重大なエラーが発生しました」
耳元のデバイスが真っ赤な警告色に点滅する。
ピコ・99の冷徹な声に、ガラバッチョルはハッとした。
「エラーだと?」
「先ほどの次元転移の際、
メインエンジンに異世界の魔法物質が混入しました。
このままでは、ITSのワープ回路が焼き切れます。
……ですが、偶然にも地球への直通ルートが今、完全に開きました」
窓の外を見ると、魔王城の天井の穴の向こうに、
青く澄んだ
美しい星がポツンと浮かび上がっていた。
紛うことなき、
ガラバッチョルが愛してやまない本物の地球だ。
「……ふっ。おいピコ・99くん」
ガラバッチョルは
さっきまでのギャグ調のノリをスッと引っ込め、
18歳らしい真っ直ぐな少年の瞳で窓の外を見据えた。
「なんでしょう、マスター」
「駐車違反の切符は宇宙警察に郵送しといてくれ。
行くぞ、本当の目的地へ!」
【 青き星の救世主 】
バシュウウーーーン!!!
魔王城の天井を完全に粉砕し、
ITSは光の矢となって宇宙の海へ飛び出した。
パラレルワールドのモンスターたちの
「あいつら帰っちゃったよ」
「めでたしめでたしだな」という
呆気にとられた声を背に、
彼らの機体は亜空間を切り裂いていく。
数秒後――。
東京都の上空、
雲を突き抜けたITSのハッチが勢いよく開き、
ガラバッチョルは単身、大空へと飛び出した。
「うおおおおおっ!
見えたぞ、東京タワー!
スカイツリー!
そして俺の大好きなコンビニのピザまん!!」
地上では、
突然空から現れた謎の美少年(自称宇宙救世主)の姿に、
渋谷の
スクランブル交差点を歩いていた人々が
「えっ、何あれコスプレ?」
「イケメンだけど空飛んでない!?」
と騒然となり、スマホのカメラが一斉に向けられる。
「マスター、地球の危機カウントダウン、残り3秒です」
「間に合わせるさ! 俺の触手……じゃなくて、
この熱い魂にかけてな!」
落下しながらガラバッチョルが指を鳴らすと、
ピコ・99が
地球の全インターネット回線をハックし、
世界中の
スマホに緊急メッセージを送り届けた。
『【緊急】
全地球人の皆様、ピザのチーズ増量キャンペーンを
開始します。お急ぎください』
「――よし、
これで地球の最大の危機(お腹ペコペコ問題)は
完全解決だ!!」
「……はい、
世界平和が保たれましたね。本当にお疲れ様でした。
マスター」
青く美しい地球の青空をバックに、
宇宙一くだらなくて
最高な救世主の物語が、
いま、
本当の意味で始まったのだった。
©[I・G・ε]All Right Leserved.
「マスター、地球の防衛拠点であり、
現在
最大の危機に直面している重要人物の座標を特定
しました。
リシアのミスクワ、キレムリンの執務室です」
「よし、
宇宙の平和も、俺の大好きな地球のリシア
ケーキも、
このガラバッチョル様が守り抜いてやろう
じゃないか!




