第1話 とっとと地球へ行って地球を救え!
アンドロメダ星雲の惑星出身で、
地球の危機を救うため
ITSに
乗ってやってきた、自称宇宙救世主の18歳・ガラバッチョル。
彼の左耳には、
人間の道具として忠実に従属する超AI・ピコ・99がぶら下がっていた。
地球の危機を救うべく、問題人物を地球防衛へ強制協力させていく。
ツッコミどころ満載の特製ピザを受け取りつつ、
シュールに世界を救い続ける壮大(?)な物語。
【 超AIの無慈悲なチート無双 】
「マスター、敵性反応多数。排除しますか?」
「排除してくれピコ・99くん!」
「了解。ITSの空間跳躍エネルギーを応用し、
周辺の物理法則を一時的に『ギャグアニメ仕様』に書き換えます」
ピコ・99が電子音を鳴らした瞬間、魔王城の空気がガラリと変わった。
ピピッ! 『次元バグ・発動』
魔王が振り下ろした魔剣の刃が、なぜか突然ゴム製の巨大なバナナに変化した。
「なっ……なんだこれ!?」
バランスを崩した魔王は、ツルリと見事に盛大にすっ転び、
床を高速で滑走してそのまま壁のポスターのように激突した。
「ペターン!」という効果音までどこからともなく響き渡る。
「ひ、卑怯な魔法だ! 貴様ら、何者だ!」
配下のオークたちが慌てて突撃してくるが、ピコ・99は冷ややかに処理を続ける。
「足元にバナナの皮を300枚生成。さらに、全員の頭上に100トンの鉄アレイを転送します」
ボコン! ガシャーーーン!!!
次々と転び、あるいは頭から鉄アレイを食らった魔王軍の精鋭たちが、
ものの数秒で全員目がグルグルの「×」印になり、お星様になって気絶した。
静まり返ったホールには、静けさだけが戻っている。
【 勘違いから始まる伝説 】
静寂の中、魔王城の片隅で震えていた、この世界のプリンセス(囚われていたお姫様)が、
おそるおそる声を震わせて言った。
「あ、あの……魔王を、一瞬で倒してしまったのですか……?
あなた様は、どこからいらした、伝説の……」
ガラバッチョルは、サッとキメポーズの形に整え、目をキリッとさせた。
「ふっ……私を誰だと思っている。
私は、はるかアンドロメダの彼方より、
美しき世界を救うためにやってきた宇宙の救世主、ガラバッチョルだ!
この世界であれ地球であれ、愛と正義を脅かす悪党がいるかぎり、
私のITSはいつでもどこへでも駆けつけるのさ!」
「アンドロメダ……? ITS……?
よく分かりませんが……ありがとうございます!
あなた様は、私たちの救世主です!」
お姫様が感動のあまり涙を流し、大歓声を上げる。
生き残った魔王軍の雑魚モンスターたちも、
なぜか混ざって
「ブラボー! ガラバッチョル様、万歳!」と拍手を送り始めた。
「マスター、周囲の好感度がMAX値を超えました。
なお、地球の危機というのは、宇宙ネットの
『地球風ピザのチーズが足りなくて危機』という
誤情報だったことが判明しました」
耳元でピコ・99が淡々と耳打ちする。
「なっ……!
じゃあ私は、全く関係ない別世界で、ただ暴れ回っただけじゃないか!」
「ですがマスター、結果オーライです。
ほら、そこのお姫様があなたに黄金のトロフィーを差し出そうとしていますよ」
振り返ると、お姫様がキラキラと目を輝かせながら、
ダイヤモンドが埋め込まれた巨大なトロフィーを両手で持ち上げて近づいてきていた。
「ま、まあ……結果的に悪党は倒したし、世界は救ったわけだから、良しとするか!」
ガラバッチョルは爽やかに微笑み、
相棒の超AIとともに、
今日も今日とてシュールな銀河の風に向かって高らかに笑い声を上げたのであった。
――もちろん、乗ってきたITSの駐車違反の切符が、
ちゃっかり外の扉に挟まっていることには、まだ誰も気づいていない。
下らない話はいいから、とっとと地球へ行って地球を救え!
©[I・G・ε]All Right Leserved.
「駐車違反の切符だって!?
笑い事じゃないだろ、ピコ・99くん!
銀河連邦のレッカー代がいくらすると思ってんだ!」
「レッカー代の心配より、マスター、重大なエラーが発生しました」
耳元のデバイスが真っ赤な警告色に点滅する。




