同じ修行
166話目です。
朦朧とする意識の中、
かろうじて見えるアルケイン卿の猛攻に当たりながらも、
なんとか致命傷を避け続けていた。
しかし、アルケイン卿は優しくはない。
ギリギリ避けられる攻撃をしているわけではなく、
完全に一撃で殺すつもりで攻撃している。
あの時、アルケイン卿がこう言っていたからだ。
「そのクセは…一度死なんと治らんか…?」
それからの攻撃の質と精度が変わった。
何度も何度も見たことのない大魔法を叩き込まれる。
「そうよのう…死にたくはないよのう…。
だがな、お前は死なんと治らんのだ…」
大魔法の猛攻に目と体がようやく慣れた頃、
精度の高い初級魔法を矢継ぎ早に撃ち込まれる。
発動と弾速が文字通り一瞬。
当たってやっと気付く。
ありとあらゆる属性の大魔法と初級魔法。
緩急をつけ、交互に放ってくる。
『…ほ…んと、器用な…ジジイ…だよ…』
「おや…?まだ余裕があるようだ……ん?」
アルケイン卿の肩口から焦げ臭い煙が上っていた。
「…一矢報いたつもりか…。
この程度では、儂は殺せぬ……。
だが、見事な自然魔法だ……。
ようやく"初級"魔術師、と言ったところか…」
『じゃあ…今までは…何だったんだよ……』
「初級以下なんだ、まあ…赤ん坊だろうな…」
『…口の減らない…じいさん…だな…!』
再び、指定した座標に自然発生させるように仕掛けた魔法は、
アルケイン卿のローブをかすめる程度に留まり、
不発に終わってしまった。
「学習せんな…。
儂に二度同じ魔法は通用せん…」
『でも……ローブ、焦げてるよ…。
もう…着れないんじゃない…?それ』
「魔法耐性のある法衣で、気に入っとったんだがな……。
まあ、よいわ…」
ローブが地面に落ちた。
『え?…いやいや、
ほんとに…おじいさん…なの…?』
その下から現れたのは――
年老いた魔導士の身体とは思えない、
鍛え抜かれた筋肉の塊だった。
「魔法を行使する者には必要なものだ……」
―――一瞬だった。
アルケイン卿の拳が、腹を貫いていた。
血が溢れ、身体が前へ崩れた。
気がつけば、アルケイン卿にもたれかかっていた。
そして、アルケイン卿の声が耳元で落ちた。
「これで…ようやく死ねるのう……オリバー」
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