死者の魔力
161話目です。
「っんだよ!どんだけ待たせんだよあの爺さんは!」
一人部屋に取り残されたクラウンは、
待ちくたびれて苛立っていた。
「……ずっと前からここにおるよ…」
「え!?いつの間に!?」
「だから、ずっとって……」
「じゃあ声かけろよ!」
アルケイン卿は、ずっとクラウンの背後に居た。
「…クラウンと言ったか…。
なかなかに滑稽な出で立ちよのう…」
「好きでこうなったんじゃねぇよ!」
「その聖遺物のせいか…。
儂も"それ"を求めていた時期もあったな…」
「え?じいさん…不死になりたかったのか…?」
「まあ、擬似的に実現はしておるがな…。
アンデッドになる前も魔法を使っていたのか…?」
「ほとんどパフォーマンス用だけどな。
こうなってからは使いづらくなったぜ…ったく」
「そうだろうな…。
死者は魔力を行使できんからな…。
恐らく懐に隠し持つその"魔法球"が魔法を行使するのだろう…?
お主にうってつけだったな…」
「それだけが救いだよ…」
「儂に出会えたことも救いだと思わせてやろう…。
儂が教える魔法は、お主のような半端者の為にあるようなものだ」
「だけどよ、大将…オリバーもみるんだろ?」
「だからなんだ…?同時に見ればよいだろう…?」
「え?あ、うん。だよな!ははは……」
「お主に教えるのは、そのオリバーがやっている"魔法"だ」
「自然魔法だっけ?それは種族縛りがあんだろ?」
「"本物"は…な…。
儂が編み出した"自然魔法"なら根気があれば誰でも使える…」
「じゃあ、全員それでいいじゃんかよ」
「ここ、マギステリウムの民は全員それが扱える…」
「すげぇな…。大将みてぇな奴らばっかなのか…」
「もう一度言うが、儂が教えられるのは"本物"ではない…」
「それがどうちげぇんだ?」
「これをやろう…」
光るなにかがアルケイン卿の手を離れ、
ゆっくりとクラウンの前に飛んできた。
「…指輪?」
「その手袋の上からでいい…。はめてみろ…」
「骨の俺にもちゃんとつくじゃねぇか…」
「それが、儂が編み出した魔法を行使するのに必要なものだ…。
魔法の素養がなくても魔法が扱えるようになる…。
まあ、そうなるまでが地獄だがな…」
「へっ!もう存在が地獄みてぇなもんなんだ!
なんでもきやがれってんだよ!」
「お主が魔法球なしで魔法を行使できれば、
その魔法球の威力も格段に上がるだろう…。
断るという選択肢は、ない…。
さあ、準備はいいか…?」
「まあ何かわからねぇけどよ、ここで強くならなきゃいけねぇんだ!
味が無くなるまで貪り尽くさせて貰うぜ!アンタの知識をよ!」
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