虚無
159話目です。
「何とか間に合ったようじゃな」
「なに!?ここどこよ!教会は!?」
「一応ここも協会の中と言えば中じゃ…」
「はぁ!?どういうことよ!
咄嗟に飛び込んだはいいけど、なんっにもないじゃないの!」
ヒルダがいたそこは、壁も床も空さえもない場所だった。
「もう少し教会で話せれば良かったのじゃが…。
お嬢ちゃんが教会と外界を繋いだことで、
儂の居場所を嗅ぎつけられてしまったようじゃな」
「え?命狙われてるの…?」
「まあそんなことはどうでもいいじゃろう。
お嬢ちゃん、お名前は?」
「ヒルダよ」
「ヒルダ嬢よ。
まだ上手くその力を使いこなせていないようじゃな」
「そんなことない…と思う。
ちゃんと仲間の傷は癒せるし、支援もできてる」
「じゃがな、その力…化けるぞ?」
「ふーん、何か知ってるのね」
「よく知っておるぞ。
特に、祝福についてはな…」
「なんで祝福については特に詳しいのよ」
「かつては…数千年前までは…儂が与えておった力じゃった」
「与えてた…?どういうこと…?」
「ヒルダ嬢、神に祈りを捧げたことはあるかの?」
「もちろんよ。
アウレリア家は代々聖職者の家系だから、
小さい頃から祈るのが当たり前だったわ」
「左様か。じゃが、神罰を受けてしまったということは、
"今"の神に反発でもしたんじゃろう」
「…おじいさん、やっぱり…」
「神というのは、反発されても感謝をされても、
等しく祝福を与えるものなのじゃ…。
儂もかつてはそうしておった…。
とある種族との争いに敗れ、天上から落とされるまではな…」
「そっか。信じられないけど、やっぱり神様なんだよね?」
「"元"じゃがな…」
「アルケインっておじいさんは何者なの?
元神様を知っていて、私と引き合わせるようなことまでして…」
「あやつもまた変わった存在じゃな。
何年生きておるのか…思い出すのも億劫になるわ」
「そんなに…。
長くなりそうだからまた改めて聞かせてもらうわ」
「うむ。それがよい。
さて、"我々も"始めるとするかの」
「始めるって…何をどうするのよ」
「そこは、神の仰せのままに…。じゃよ」
「"元"神様なんだから偉そうにしないでよ?」
「おっと、なかなか手厳しいのう。
冗談はさておき…覚悟はできておるな?」
「……やるしかないんでしょ。
やるわよ!何でもかかってきなさい!」
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