廃神
158話目です。
オリバーが激しい戦闘を繰り広げているその頃。
ヒルダはペンデュラムを頼りに部屋を探していた。
「これも魔法なのかな?
オリバーのとは全然違うけど……」
ヒルダは、自らを導くように引っ張るペンデュラムを見て呟いた。
「…にしても、広すぎない…?」
一人でもしっかり文句を言っていたヒルダだが、
次第にそんな余裕もなくなっていた。
歩きすぎたからではない。
部屋を探していたはずが、
気がつけば学院の外に連れてこられていたからだ。
そしてペンデュラムは止まった。
小さな小さな集落の、小さな小さな教会の前で。
「教会…よね…?」
ヒルダは教会が嫌いだ。
自分に不運を押し付ける神がいる場所なんて来たくもなかった。
「…でも、ここに何かあるっていうのね…?」
ヒルダはペンデュラムへ語りかけるように呟いた。
そして、勇気を振り絞って扉に手をかけた。
すると、まだ開けようとしてもいないのに、
扉は甲高い音を立てながらゆっくりと開いた。
教会は廃れていた。
信奉者も僧侶も誰もいない。
そう、誰も。
「神様も…いないのね…」
そう思いながら、ふと部屋の端に目をやると、
老人が一人、椅子に腰掛けていた。
「また…おじいさんか…。
あ、あの…!」
「ん?なんだ?儂か?
おー?客人か!こりゃまた珍しい!」
「あの…アルケインというおじいさんから、
これを渡されてここまで連れてこられたんですけど…」
ヒルダは老人にペンデュラムを見せながら恐る恐る説明した。
「あやつが、儂に人を寄越しただと…?
お嬢ちゃん、何用でここへ案内された?」
「強く…なるためです」
「うんうん、単純明快でええのう。
儂の元へ寄越すということは、
お嬢ちゃんは聖職者で、祝福を強化しにきたのじゃな?」
「ええ。格好を見れば分かると思ったんだけど?」
「儂は、とうの昔に外見をみることをやめたのじゃ。
何の参考にもならんからのう…。
だから、お嬢ちゃんの服装は見ずに中身をみておったのじゃ。
ドス黒く渦巻く祝福の光をな…」
「ドス黒く…!
じゃあ私がどういう状態なのかわかるってこと?」
「正確にはわからぬが、本来の祝福の光とは丸っきり違う。
ここまで来れば恐らくは…。
神罰を…受けてしまったのじゃな…?」
「ええ、御名答よ。
私は神罰を受けて、全ての祝福の魔法が反転するようになったの」
「やはり…お嬢ちゃんも、か」
「も…って、おじいさんもそうなの?」
「ああ、儂もそうじゃ…」
「そうなんだ…。
聞いていいのかわかんないけど、
どんな神罰を受けてるの?」
「厳密にいうと神罰でも呪いでもない。
が、儂にとってはそれよりも大きなものを失った…」
「もしかしてなんだけど…」
「なんだ?お嬢ちゃん」
「いや、やっぱいいわ。
聞いたからってどうってことないし。
それより私を強くしてよ」
「そうかそうか。
少し待っておれ、今準備をしてくる」
そう言って老人が姿を消した直後、
教会の周りを魔物が包囲していた。
「ちょっとどういうことよこれ!
ねえ!おじいさん!どこ行ったの!?」
「こっちじゃ…」
ヒルダは老人がいた扉の中に飛び込んだ。
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