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神罰の英雄たち  作者: Anon
西の大陸編(前編)

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159/199

廃神

158話目です。

オリバーが激しい戦闘を繰り広げているその頃。

ヒルダはペンデュラムを頼りに部屋を探していた。


「これも魔法なのかな?

オリバーのとは全然違うけど……」


ヒルダは、自らを導くように引っ張るペンデュラムを見て呟いた。



「…にしても、広すぎない…?」


一人でもしっかり文句を言っていたヒルダだが、

次第にそんな余裕もなくなっていた。


歩きすぎたからではない。


部屋を探していたはずが、

気がつけば学院の外に連れてこられていたからだ。


そしてペンデュラムは止まった。


小さな小さな集落の、小さな小さな教会の前で。


「教会…よね…?」


ヒルダは教会が嫌いだ。

自分に不運を押し付ける神がいる場所なんて来たくもなかった。


「…でも、ここに何かあるっていうのね…?」


ヒルダはペンデュラムへ語りかけるように呟いた。


そして、勇気を振り絞って扉に手をかけた。


すると、まだ開けようとしてもいないのに、

扉は甲高い音を立てながらゆっくりと開いた。


教会は廃れていた。

信奉者も僧侶も誰もいない。

そう、誰も。


「神様も…いないのね…」


そう思いながら、ふと部屋の端に目をやると、

老人が一人、椅子に腰掛けていた。


「また…おじいさんか…。

あ、あの…!」


「ん?なんだ?儂か?

おー?客人か!こりゃまた珍しい!」


「あの…アルケインというおじいさんから、

これを渡されてここまで連れてこられたんですけど…」


ヒルダは老人にペンデュラムを見せながら恐る恐る説明した。


「あやつが、儂に人を寄越しただと…?

お嬢ちゃん、何用でここへ案内された?」


「強く…なるためです」


「うんうん、単純明快でええのう。

儂の元へ寄越すということは、

お嬢ちゃんは聖職者で、祝福を強化しにきたのじゃな?」


「ええ。格好を見れば分かると思ったんだけど?」


「儂は、とうの昔に外見をみることをやめたのじゃ。

何の参考にもならんからのう…。

だから、お嬢ちゃんの服装は見ずに中身をみておったのじゃ。

ドス黒く渦巻く祝福の光をな…」


「ドス黒く…!

じゃあ私がどういう状態なのかわかるってこと?」


「正確にはわからぬが、本来の祝福の光とは丸っきり違う。

ここまで来れば恐らくは…。

神罰を…受けてしまったのじゃな…?」


「ええ、御名答よ。

私は神罰を受けて、全ての祝福の魔法が反転するようになったの」


「やはり…お嬢ちゃんも、か」


「も…って、おじいさんもそうなの?」


「ああ、儂もそうじゃ…」


「そうなんだ…。

聞いていいのかわかんないけど、

どんな神罰を受けてるの?」


「厳密にいうと神罰でも呪いでもない。

が、儂にとってはそれよりも大きなものを失った…」


「もしかしてなんだけど…」


「なんだ?お嬢ちゃん」


「いや、やっぱいいわ。

聞いたからってどうってことないし。

それより私を強くしてよ」


「そうかそうか。

少し待っておれ、今準備をしてくる」


そう言って老人が姿を消した直後、

教会の周りを魔物が包囲していた。


「ちょっとどういうことよこれ!

ねえ!おじいさん!どこ行ったの!?」


「こっちじゃ…」


ヒルダは老人がいた扉の中に飛び込んだ。

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