修行の始まり
157話目です。
ふむ…。やはり魔法の精度は大したものだ…。
シェインの教えが良いからか…いや、血筋か…?
だが、勿体ない…。
芸当が細かすぎる…。
もっと豪快に行使しても何も影響はないはずだ…。
それに、この盗賊じみた戦い方はなんだ…。
偉大な魔法使い…
いや、その始祖である古代森族をわかっておらんのか…。
あの短剣が邪魔しているのか…。
絶妙に……弱い。
アルケイン卿は、四方八方あらゆる属性の魔法の猛攻に、
防護壁を一瞬だけ合わせ、完璧に防ぎきっていた。
氷の刃も、落雷も、大爆発も、そして…
"開拓者のタクト"による一撃も…。
それでも尚、アルケイン卿は顎に手を当てうつむきながら、
考えごとに集中していた。
(魔法も罠も短剣も……何も…届かない…!
見た目はヨボヨボのおじいさんなのに…!
隙だらけなのに…!)
「ん…?どうした…?
もう始めてもよいのだぞ…?
あ、いや…始めておったか…」
『ふん…。嫌味はチープだね…』
「いや、すまない…。
そんなつもりではなかったのだ…。
なんと表現しようか……?」
『…なに?』
「オリバー…お前、弱いな」
『嫌味も言えなくなったの…?
それとも発破をかけてるつもり?』
「いや、違う…。
お前は弱い。弱すぎる。
よくここまで生きて辿り着けたな…。
どう考えても仲間のおかげだ…。
お前一人なら…7年前くらいにはもう死んでいただろう…。
あとで、お前の仲間に感謝を述べておこう…」
『確かに…仲間のおかげだよ…?
でも、僕だって沢山苦労して傷ついて経験して、
ここまでやってきたんだ…!』
「……だからなんだ?
たったそれだけか…?
ん…?冗談が言いたかったのか…?」
『なんだ…!なんなんだよ…!
僕は僕の弱さを認めている…!
アンタに言われなくたって…!』
「戦術、判断、決定…。
お前から聞いた話はこの程度だ…。
だから雑魚だと言うのだ…。
お前程度が自然魔法を使えるなど笑えもしない。
どうしたらいいか儂が教えてやろうか?
自分で見つけられないだろう?
そりゃそうだろう。それでここまで来てしまったのだからな」
『また…またそれか…!
なら、どうしたらよかったんだよ…!!』
「うむ。それでよいのだ。
素直に教えを乞え。
雑魚は雑魚なりの態度をとれ。
お前のそれは、ただの虚栄だ。
…そんなところも、奴を彷彿とさせる。
流石は師弟だ」
『なら、教えてよ…。
僕はまだまだ先に行かなきゃならないんだ…!』
「ただの好奇心の為にこの儂が力を貸さねばならぬのか?」
『そうだ…!
それ以上でも以下でもない…!
この世界の果てをこの目で、この足で…!
その為にここまで来たんだ…!』
「それだけは、一貫しておるな。
ならば肝に銘じなさい。
これからの旅に必要なのは一つしかない。
それをここで徹底的にその体に刻みつけてやろう。
よく聞いておけ…」
一拍の間が空いた。
"力で捻じ伏せろ"
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