それぞれの場所へ
154話目です。
帯を手繰って入った扉の奥は、外だった。
いや、確かに"中に入った"はずなのに外にいた。
不思議なのはそれくらいだった。
後は何もない普通の草原。
「おじいさん…どこにいるんだろう…」
「儂のことは先生と呼べ」
突如背後に現れた。
この現れ方には覚えがあった。
「空間魔法…?」
「博識だのう。知っておったか。
…今日からここで学ぶがよい」
アルケイン卿は言い終わると同時にパチンと指を鳴らした。
アルケイン卿が手を向けた方向に小屋が現れた。
「あそこで暮らせ」
「え?僕一人?みんなは?」
「ここではお前一人だ…。
他の連中のことを気にしている暇はないぞ…?」
突如空が暗くなり、不穏な魔力が周囲を満たしていく。
『…そういうこと。やるしかないか…』
オリバーが何かに立ち向かうより少し前、
オリバー以外の仲間たちは学院内の一室に集められていた。
「ここで待つように言われたけど…誰も来ないね」
「これだけ広いんだ。
そりゃ時間もかかるさ!」
「オリバーさんが居ないのも気になりますね」
「大将、えらく気に入られてたからなぁ…」
暫く雑談をしていると、扉が開いた音に誰も気付かなかったのか、
そこにはアルケイン卿が佇んでいた。
「仲が良いのは…いいことだ…」
「え…?どうやって……」
「聖職者のお嬢さん…。
お主に会わせたい者がおるのだ…。
このペンデュラムを頼りに扉を見つけなさい…」
「じ、じゃあ、先に行ってるわね…?
またあとでね、みんな…!」
叶わぬ希望をそこに残しヒルダは去っていった。
「魔族のお嬢ちゃん…。
君にはうってつけの相手がおる…。
ロウ…!入りなさい…!」
「はい!失礼します!」
「こやつがロウだ…。
魔法は使えぬが、拳闘士の加護を持っておる…。
ロウ…このお嬢ちゃんはネフィアという…。
魔族なんだが、呪いの影響で魔法が使えぬ…。
上手くやってやれ…」
「かしこまりました!」
(私…何も言ってないのに…なんで……?)
「そして、不死の者…。
お主は魔法の才がありながら、
魔力を失っておるのか…。
儂が直接みてやろう…」
「俺が…不死だって…なんでわかんだよ…!」
「何で、か……。
まあ…見ればわかるとしか言いようがないな…。
お主はそこで待っておれ…」
「くそ…!次から次へと当てやがって…!」
「ふむ…。お主で最後か…。
出来損ないの勇者よ…。
お主は……誰もおらぬ……が、部屋を用意してある…。
そこへ行ってみなさい…」
「わ、わかった…」
(また…俺を勇者って……)
「さて、これで全員散ったか…。
始めるとするかの…」
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