表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神罰の英雄たち  作者: Anon
西の大陸編(前編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

153/199

マギステリウム

152話目です。

マギステリウムへの道は遠かった。


行けども行けども辿り着かない。


気候や昼夜も幾度となく変わる。


だが、いつもの文句が聞こえない。


彼女は優雅に座っているのだ。


何故ならここは、観光用馬車の中だからだ。


西大陸では、"千年竜の背骨"は有名な観光地。


マギステリウムとの直通の馬車が出ている。


馬車は広かった。

大きい作りだということもあるが、

空間を支配する最大の要因がそこにいなかったからだ。

しかしそれは移動し始めた頃に皆、消化してしまった。



「ハァ~、ほんと、なんて楽なの…!

他の大陸に行ったらまず、これを普及させましょうよ!

その為なら何でもやってやるわ…!」


「すげー便利だもんな!

自前の馬車なんてのもありだよな!」


「暑い時も寒い時も快適に移動できますしね」


「このだだっ広い世界を、

歩いて回ろうってこと自体がおかしな話なんだよ」


『転移魔法陣にどうやっていれるんだよ。

ひらけた場所ならいいけど、

小高い山の上なんてこともあり得るんだから、

自前の馬車は無しだね。

辻馬車を見つけるか、今乗ってる馬車じゃないとね…』


「おい!大将!夢がねぇな!夢が!」


「そうだぜ!オリバー!

そんなことわかってんだよ!」


『……ほんとに?』


「え、いや、…ああ!ホントだ!」


『ふーん。そりゃ話の腰を折って悪かったねー』


仮面で見えないが、

恐らくジトッとした目でガッツを見ていることだろう。


「私は最初からそんなこと言ってないからね!

普及させようって言ってるの!」


「わーったよ!声がでけーんだよヒルダは!」


「いやいや、ガッツ。

お前もだぜ…?」


そのやり取りの最中、オリバーは姿を消していた。


馬車の上にいたのだ。


『みんな!大きい都市が見えてきたよ!』




街は遠目にも異様だった。

空へ伸びる塔が幾重にも並び、

その周囲に街が層のように広がっている。


学院を中心に街が後から広がったのだと、

一目でわかる景色だった。

整然とした区画の外側に、雑多な街並みが重なっている。


魔導学院マギステリウム。

巨大な学院を核に膨れ上がった都市が広がっていた。



「すげーな!魔道具が空飛んでるぜ!

あれは…?荷物を運んでんのか!」


「街の人もオリバーさんのような魔法の使い方をしてますね」


「古代森族の集落なんじゃねぇか?」


「こんなにいるんなら、あの時の妖精の話はなんだったのよ…」


「あ?あん時の妖精?

それ、俺が知ってる話か?」


『前にね、妖精が言ってたんだ。

古代森族は滅んだ種族だって』


「そうか。じゃあ俺の説はちげぇんだな。

ならこれはどういう原理なんだろうな…」


「そんなこと今はいいじゃん!

それよりあの魔道具だよ!

ほら!あっちのあれも!

どっかで売ってねーのかな!?」


『気になることだらけだけど、今は"あそこ"に行こう』


オリバーの指差す先には、幾重にも伸びる塔。

魔導学院マギステリウムだ。


「とりあえず、門を叩いてみっか!」


マギステリウムまでの道は、案内板まで用意され、

初めて来ても迷わない程に整理されていた。



「でけーなー……」


ガッツは塔を見上げながら圧倒されていた。


『すみません。

ここで魔法を学びたいんですけど、

どうやったら入れますか?』


オリバーは、門番に声をかけていた。


「入学希望者か…?

今は時期ではないが、

学びに来た者を突き返すようなことはしない。

今、人を呼んでくる。少し待っていろ」


(意外と親切なんだな…)


暫く待っていたが、先程の門番は帰ってこなかった。


まだか。と思っていたその時。


荘厳で巨大な門が、轟音を立てゆっくりと開いた。


『え?入れってこと…?』


「とりあえず行ってみましょ!」


学院内部は縦にも横にも広く、沢山の廊下と扉があった。

どの廊下も同じ景色が続いていた。

まるで迷宮そのものだった。

勝手に入ったことを後悔しようとしていた時。


眼前に、目に見えるほど濃い魔力の帯が、道を示していた。


オリバーはそれを手繰り寄せるように歩みを進めた。


皆もその後を不思議そうな顔でついていく。


学院は、一つも物音を立ててはいけないと思ってしまう程に静かで、

オリバーたちの足音だけが静かに響いていた。


どれだけ歩いたかわからない。

幾つもの階段を上り、気付けば床は遥か下にあった。


「外から見るより広くねぇか…?」


「これも魔法なんだよきっと…!」


『声が響く…。静かに行こう…』



そして、魔力の帯が途切れた。


目の前には、

この先が同じ世界とは思えないほど、

異様な魔力を放つ扉があった。


そしてその先には、一人の老人が窓際に佇んでいた。


その老人は振り返りもせず言った。


「……よく来たね」


ご愛読ありがとうございます。

これからの投稿の励みになりますので、

宜しければブックマークと評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ