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神罰の英雄たち  作者: Anon
西の大陸編(前編)

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151/199

千年竜の背骨

150話目です。

―――よくぞここまで来た。


―――我が同胞を(ほふ)り、牙を向けた胆力は見事。


―――だが……まだ浅い。


―――退け。


―――我は逃げぬ。



―――……ほう。ジュゲ=ル=アンヴァス=ディラト=ヴォルグ=ライン=カナンか。

以前とは見違える程、強くなったようだな。


―――だが。


―――まだ、足りぬ。




"それ"は地面が抉れるほどの風圧を残し、空の彼方へと消えた。


オリバーたちは地に伏せ、ピクリとも動けなくなっていた。

朦朧とする意識の中で、彼は思った。


最初から"千年竜の背骨"に遊ばれていた。


攻略ごっこをさせられていた。


格の違いを見せつけられた。


工夫?戦略?そんなものただのお遊びだった。


そんなもの、力で捻じ伏せてしまえば何も残らない。


小手先はもう通用しない。


だからといって何が出来るんだ。


もう……これ以上は………。





天井。


窓の外、碧天。


やっぱこの空の綺麗さはどこでも変わらない。


狭いのに広い部屋。


仲間が誰一人居ないからだ。


「………寝てた?

え……?これって……」


ゴホッゴホッ。

なんだが少し埃っぽい。

背中が軋む。


起きるのは案外楽だった。


何も考えず階段をおりる。


(あれ…?なんで…2階だと……?)




そして、皆はいた。


あの時と同じ様に卓を囲んでいた。


「おせーぞ、オリバー」


「ったく…また寝坊?」


「…え?……なにこれ…?」

オリバーは、ガッツとヒルダの言葉に答える余裕はなかった。


「我らも…わからぬのだ…」


「みんなここで寝てたんです」


「ここって…あの民家だよな?って話してたところだぜ」


(…覚えてたのか……)


「私たちそんなに長い間寝てたのかな…?

家の中が凄く汚れてて…」


「どれ程の年月を経れば、このようになるのか…」


「考えてもわからねぇもんはわからねぇ。

ただ、俺らは助かったってことだけは確かだ」


「おじいさんが助けてくれたのかな…?」


「だとしたらとんでもねぇ魔法使いだぜ?

礼を言いたいところなんだが…どこにも居ねぇ」


「外まで見に行ったの?」


「いや?扉が開かねぇんだ…。

せっかく助かったのに、閉じ込められちまったのか?」


「わかんねーよ。

そんなことよりさ、あの竜…強かったな…」


「私たち、何もできなかったね…」


「うん。僕たちの弱さを思い知ったよ…。

あんなやつ、本当に勝てるのかな…?」


「そう言えばあの竜、喋ってましたよね?

最後、呪文のような何かを呟いていたような……」


「ジュゲ=ル=アンヴァス=ディラト=ヴォルグ=ライン=カナン、であろう?」


「すげーな!よく覚えてんな!」


「当然だ…。

我の真の名であるからな。

…今までずっと忘れておったがな…」


「でぃらと?で発音あってるのかな?

それでジラトってことだったんだね」


「ああ、それは友が名付けたあだ名だがな」


「発音、難しそうですからね」


「すげぇ名前だが、なんか意味があんのか?」


「この言葉を思い出すのも懐かしいな…。たしかこうだ」


―――勇を讃え、竜を継ぎ、空を駆け、時を越え、災を祓い、友を守り、真を掲ぐる者。


「意味わからねーけどカッコいいな!」


「その名前をあの竜が呼んだということは、

ジラトはあれが何か知ってるんだね?」


「そう…。我は……知っていたのだな…。

名を呼ばれ、記憶がハッキリした。

あの竜…あの者は……我が師だ…」

ご愛読ありがとうございます。

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