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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第1章 転生!?

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22.パルムの調理

 さて、俺は、パルムは柿じゃないかと考えたが、もちろん普通の柿ではない。普通の柿なら、甘くて美味しいはずだから、甘味の少ない、この院の子供達が放置するはずがない。


 俺は、リノの記憶にある渋味から、渋柿じゃないかと踏んでいる。渋柿であれば、渋味を抜く方法は二通りある。度数の高いアルコールに漬けるか、干して干し柿にするかである。今の俺には、度数の高いアルコールは準備できないので、干し柿を作ってみることにした。


 干し柿に限らず、ドライフルーツは栄養価が高く、保存も可能な為、今の院の子供達にもってこいの食べ物ではないだろうかと思い、試作品を作ってみる事にしたのだ。干し柿は、昔ばあちゃんと一緒に作った事があるので、作り方は把握している。


 短い枝の付いたヘタに、紐を括り付けて皮を剥く。煮沸消毒を5〜10秒程度して、綺麗に水気を拭き取る。後は風通しの良い場所に吊るして、2〜3週間干せば出来上がりだ。湿気が多いと、カビが生えるので、湿気は要注意だ。


 ただ、2週間も時間が掛かっては、喫緊の栄養不足対策にならない。そこで秘策を思いついたのだ。


「リノー。そろそろお湯が沸くよ。」


 そこまで考えていたら、ソフィーから、お湯が沸いたとの報告を受ける。俺も、皮剥きは済ませておいたので、くくり付けた紐をヘラの柄に縛り、パルムを沸騰したお湯に10秒程度浸けて、直ぐに取り出した。


 ・・・しまったー!水気を取る清潔な布巾がなーい!


『微風』で水気を飛ばしても良いが、この後の行程の為に、魔力は温存しておきたい。それとも省略してしまうか?いけそう気もするがどうする。


「え、それだけ?・・・リノ固まってどうしたの?」


 俺が、次行程に悩んでいると、ソフィーが声を掛けてきた。


「そうだ、ソフィー『微風』って使える?」


「今日は、後1回なら使えるよ。」


「パルムに使って、水気を飛ばして貰っても良いかな?」


「そのくらいなら、全然大丈夫だよ!」


 そう言って、ソフィーは俺の持っているパルムに向かって、『微風』を使ってくれる。ソフィーの魔法によって、パルムの水気が無くなるのを待つ。パルム表面の水気が無くなったのを確認し


「ありがとう、ソフィー。もう大丈夫だよ。」


 と声をかけると、顔色を悪くさせたソフィーが、魔法を止める。


「ソフィー、大丈夫!?」


「だ、大丈夫。いつも1日の最後の魔法はこんな感じなんだ。」


 ソフィーの様子から、残存魔力が1か2になっているくらい、具合が悪そうだ。


「ソフィーはそこに座って休んでて。あとは僕が引き受けるよ。」


 ソフィーに、近くの丸椅子を勧めて、休んでもらう。


 さて、ここからが俺の秘策の出番だ。2週間の乾燥期間の代わりに、俺は生活魔法『乾燥』を使用しようと思っている。


 以前、女性は髪を乾かすときに『乾燥』ではなく、『微風』を使うと話した。『乾燥』だと髪がパサつくからだ。これは、『乾燥』が、髪の水分を急激に揮発させているからと考えられる。


 では、その揮発効果を、食べ物に使ったらどうなるだろうか。その実験を、このパルムで試してみるのだ。


 急激に、乾燥させてパサパサにならないように、少しずつ、数回に分けて乾燥させようと計画している。

 お湯を捨てた鍋を、調理台に置き、縛ったパルムを吊るすように、ヘラを鍋の両淵に掛ける。

 両手でパルムを包み、


『乾燥』


 と、生活魔法をかける。2秒ほどすると、パルムが縮みはじめた。慌てて両手を離して、パルムを観察する。まだ少し皺が寄った程度だ。


 ここで、一旦パルム全体を揉み解す。こうすることで苦味が偏らず、甘みが均等になると聞いたからだ。

 全体を揉み解した後、更に『乾燥』魔法を使用する。次は、3秒ほどかけて手を離した。


 そこには、昔見たことのある干し柿があった。


 縛っていた紐をヘラから外して、干し?乾燥パルムを皿の上に置き、じっくりと眺める。

 うん、見た目的には十分乾燥している。


「完成?」


 ソフィーも興味津々で乾燥パルムを覗き込みにきた。


「多分・・・。よし!少し食べてみよう。」


 ナイフで、一口大にパルムを2切れ切る。中は、少しまだ半熟状態だが、この半熟が、昔食べた干し柿を思い出させて、口の中に少し唾が出てきた。


 ソフィーと、1切れずつ摘み上げ、ジッと見つめる。俺はリノの苦味の記憶と、俺の干し柿を食べた時の記憶の葛藤で、ソフィーは、純粋に苦味の記憶を思い出し、食べるのを躊躇している。だが、このままでは埒が明かないので


「ソフィー、せいので食べよう! せいの!」


 俺とソフィーは一緒に、乾燥パルムを口に放った。


お読みいただきありがとうございます。

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