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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第1章 転生!?

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21.パルムの存在価値

「カキ?」


「あ、いや、お尻を打った時に、カキって鳴ったから、思わず声に出ちゃった。」


「何それー。あ、そろそろ戻らないと、ご飯に遅れちゃうよ!」


「うわ!やばっ!急ごう。」


 そう叫んで、パルムの実をポケットに入れて、2人で食堂に急ぐ。みんなが食器の準備をしていた。


「リノ遅かったわね。何かあったの?」


「ダルトンさんと話し込んでしまいました。遅くなってごめんなさい。」


「謝る事はないわよ。仕事のお話でしょ?都合はどうだった?」


「2日後の、午後の1の鐘の時に、伺いますだって。あと、その時に寄付もお持ちしますって、伝えて欲しいって。」


「あら、それはありがたいわね。分かったわ。院長には私から伝えておくから、2人は手を洗って準備しちゃって。」


「シンシアお姉ちゃん食事が終わったら、ちょっと厨房借りてもいい?」


「良いけど何するの?」


「うーん、ちょっとした実験。」


「イタズラしちゃダメよ?火は使う?」


「沸騰したお湯を使いたいから、使いたいかな。」


「じゃあ種火は残しておくわね。私も、洗い物しているから近くにいるけど、火の扱いには気をつけてね。あと、薪代も馬鹿にならないから、無駄使いしないように!」


「はーい。ありがとう。」


「さあ、じゃあ食べましょうか。」


 その合図で、みんなが一斉に食べ始めた。俺も小声で「いただきます。」と呟き、今日の夕飯を見る。

 今日は昼間、シンシアと買い物に行っているので、メニューは分かっているが、改めて確認してみる。

 黒パンと、オマケで貰った根菜のスープ、ボア肉野菜炒めだ。オマケを貰って無かったら、スープが無かったかもしれない。俺達は、市場の人達にも助けられているんだ。


 市場の人達に感謝しながら、夕飯を頂く。買い物に行った時に気づいたが、やはり調味料は割高だった。貿易都市でこれだと、他の国の地方では、ほとんど使えないのではないだろうか。


 そんな事を考えながら、味の薄い食事を咀嚼していく。普段は質素な食事に、みんなも暗い顔しながら、静かに食事をしているのだが、今日は夕方に院の前で事件があったので、その話題で騒がしい。


「リノ、お前はなんか見てないのか?逆さ吊り男。」


 吊られてない。


「ううん。僕が、出掛けた後に何かあったのかな?」


「そっかー。でも、どんな事したら頭突き刺さるのかなぁ。俺も見たかったぜ!」


 投げたら刺さりました。


「そう言えばリノ、シンシア姉に厨房借りる話してたけど、何するんだ?美味いもんでも作るのか!?」


 周りの子たちが、一斉に、期待の眼差しで俺を見る。


「ち、違うよ。これを使って実験しようと思ってるんだ。」


 そう言って、ポケットからパルムを出して、テーブルに置く。


「げーー!パルム!そんなもん見せんな!メシが渋くなる!」


 みんなも一斉にしかめ面になる。パルム、恐ろしい子。


「ソイツ、煮ても美味くならないぞ。中途半端に甘くなるけど、渋いのは変わらないから、普通に食べるよりもタチが悪いんだ。」


 ウンウンと周りの子も頷く。君たち一度は試してるのね。


「そっか。でも一回試してみるよ。」


「まぁ、何事も経験が必要だからな。自分で確認する事は大事だな!そして悶絶しろ!」


 わはははと、笑いながカイトは食事に戻った。皆も、興味が無くなったようで自分の食事に戻った。


「リノ、私は一緒に手伝うよ。」


 隣のソフィーが申し出てくれる。


「いいの?皆が言うように失敗するかもよ。」


「いいの!私も試した事ないし、楽しそうじゃん。」


「ありがとう。じゃあ、食べ終わったら厨房に行こうか。」


 2人で手早く食事を終えて、食器を厨房へと持って行く。


 厨房は昔、大人数の孤児を養う為に作ったのか、かなりの広さの造りをしていた。洗い場が勝手口の近くにあり、その隣に5つの竈がある。今は13人分作ればいいので、2つの竈で事足りているようだ。


 その内の1つの竈は、薪が少し残っており、炭化した薪の一部が、まだ赤く燃えていた。


「じゃあ、ソフィーは、このパルムが浸かるくらいの量の水を鍋に入れて、沸かして貰っていい?」


「了解。リノは何するの?」


「その間にコイツの皮を剥いて、ちょっと細工をしておく。」


 さて、上手くできるかな?


お読みいただきありがとうございます。

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