23.乾燥パルム
「「うっ!んまぁ!!!!」」
あまりの美味さに、二人して声を張り上げる。近くで、洗い物をしていたシンシアが、声にビックリして此方を見ている。別の意味で口を押さえて、悶絶している俺達を見ながら、勘違いして笑っている。
「だから、パルムは煮ても焼いても食べれないわよ。」
2人で、首をブンブンと振る。
「シ、シンシアお姉ちゃん!た、食べてみて。」
「え?い、嫌よ。私、貴方達の先輩達に「今回は上手く出来た!」って、毎回騙されて・・・、こ、今回は騙されませんからね!」
「「ほ、本当に美味しいんだって!」」
「いいえ!絶対に騙されません!」
結構、頑なだな。こりゃ、相当騙されてきてるな。
なんか、絶対に食べさせたくなってきた。
よし、なら、
「ぼ、僕たちが一生懸命頑張って、作ったのに食べてくれないの?ウルウル。」
子供のウルウル瞳攻撃だ!
「う、うぐっ!ダ、ダメです。騙されませんよ。そうやって、悲しげな眼差しで見つめて、実は渋味で涙目でしたー!って、騙した子もいたんです。」
て、手強い。あと、先輩達、結構やり手だな!なら、
「シンシア、こんなに美味しいのに、本当にいらないの?」
ソフィーが、純粋な気持ちでシンシアに勧める。
「ソフィー、シンシアお姉ちゃんいらないって言ってるし、2人で食べちゃおうぜ。」
要らないなら、全部食べちゃうぞ作戦だ。これをやられると、ちょっと惜しくなって、欲しくなってくる。人の物欲を刺激する作戦だ。目の前で、一口台に切り分けて、2人でもう一口ずつ食べる。
「「やっぱ、うっまー!」」
俺達、2人の様子が演技に見えない為か(だって、演技じゃないし。)、シンシアが喉を鳴らす。
「ちょ、ちょっとだけ、た、食べてみようかなぁ?」
チョロい。
「えー、シンシアお姉ちゃんいらないって、言ったじゃん。」
と、意地悪をする俺。
「もう、リノ!意地悪しないの!はい、シンシア、どうぞ。」
天使なソフィー。
「あ、ありがとう・・・。ゴ、ゴクリ。」
お礼を言いつつ、躊躇するシンシア。暫く、乾燥パルムの欠片を見つめていたが、意を決したのか、ポイっと口に放り込んだ。そして、
「う、う、うんまぁーーー!!」
絶叫した。
「な、何これ?え、え、本当にこれパルム?私が、私が、今まで食べさせられてきた、パルムはなんだったのー?」
混乱して、泣き出したぞ。どんだけ騙されてきたんだ。それはともかく、これで喫緊の栄養問題は、解決したかもしれない。はしゃぐ2人を眺めながら、そんな事を考えていた。
はしゃぐ2人?
「ソフィー、具合は大丈夫なの?」
「あれ?そう言えば、なんか、パルム食べてから気分が良くなってきたよ。」
え?どういう事だ?気分が良くなったって事は、魔力枯渇が解消された?乾燥パルムで魔力が回復したのか?
自分の残存魔力量を見てみる。確か、昼前の検証の際に、魔力4使っていたので、残存魔力量は16のはずだが、現在の数値は18である。
魔力の自然回復が、どの程度の時間で回復するか分からないが、活動している時間帯はそんなに回復している感覚はない。最大魔力量から1日に使える魔法の回数を割り出してみても、多くても1程の回復量ではないだろうか。
そうすると、乾燥パルムを食べて、少なくとも1は回復した事になる。
「シンシアお姉ちゃん、魔力を回復させる食べ物や薬ってあるのかな?」
「私は、飲んだ事無いけど、魔力回復薬が、貴族や軍にはあるらしいわよ。とんでもない値段らしいけど。」
「みんな、どうやって魔力が回復したってわかるの?」
「うーん、そこまでは分からないわね。でも、普段より、使える魔法の回数が増えれば、魔力が増えたって事じゃない?」
「それもそうですね。」
偶然にも稼げる手段を見つけたかもしれない。
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