14.報告、からの襲撃
「はぁ?ダルトン商店がリノを雇いたい?なんでだい?」
荷物を厨房に置いたシンシアと俺は、院長の執務室に行き、ダルトン商店でのやり取りを報告した。その際シンシアには、計算の事について報告しないで欲しい事をお願いしていた。何か嫌な予感がしたからだ。
執務机で、書類を書きながら聞いていた院長が、下げていた顔を上げ、上記のセリフを吐いた。
「で、ですから鍋が壊れていたので、ダルトン商店に買いに行った時に、ダルトンさんから言われたんです。」
「それはさっき聞いたよ。なんでリノなんだい?」
シンシアがたじろぐ。
「ぼ、僕がダルトンさんに頼んだんだ!僕、まだ力仕事じゃみんなの役に立てて無いから、何か仕事ありませんか?って。そしたら、ダルトンさんも働く人を探してたんだって。」
「へぇー。で、いくらで雇ってくれるって話なんだい?」
「そのあたりのお話は、私の一存では決められないと思いまして、院長と相談してからとお伝えしたところ、一度ご挨拶に伺いたいとの事でした。」
「あんたにしては、いい判断だね。そうだねぇ・・・
2日後の午後なら空いてるね。シンシア、そう伝えてきな。あと、ダンカンとこに家事手伝いに出してる子達は、2日間、院の掃除に回しな。少しでも見映え良くしないとね。」
「ダルトンさんには僕が伝えてくる!道にも慣れたいし!」
「・・・流石に客前に出るのに、その格好は不味いね。よし!良いかねづr・・・就職先を見つけてきたから就職祝いだ!シンシア、出て行った子供達のお古で、リノの背格好に合う服を見繕ってあげな。なるべく表通りでも悪目立ちしない、ツギハギが無いヤツだよ。」
そこは新品じゃないのかい!
しかし、チョイチョイ腹黒い所があるな。さっきも、金蔓って言い掛けたよな。なんで孤児院なんて経営してるんだ?顔は善良そうに見えるが性格は真逆だ。
あと、金蔓に、キレイになった施設を見せる?俺がお金を引っ張るなら逆に、大変な状況を見せて同情を買うけどな。行動もチグハグだ。
だが、新しい服は単純に嬉しい。みんなには申し訳無いけど・・・別の事で還元するので許して欲しい。
俺は、シンシアが服を探している間に、ダルトンの店にアポを確認に行く事にした。
門を出て、大通りに出る為に、体の向きを大通り側に向けた瞬間、後ろから大声が聞こえてきた。
「ああぁ!昨日のガキ!!」
振り返ると、昨日俺、いやリノを殴りつけた大男がドスドスと走ってきた。少し右足を引きずっている。
「テメェと、テメェんとこのババァのせいで、クビになっちまったじゃねぇか!」
「???」
俺が、訳が分からないという顔をしていると、
「テメェんとこのババァが、治療費だ、慰謝料だと、社長からふんだくっていったお陰で、俺がクビになったんだよ!」
自業自得だ、ボケ!
「こうなったら、テメェと、ババァをぶん殴って憂さ晴らししてやろうと、孤児院に来てみれば丁度テメェが出てきたじゃねえか。探し出す手間が省けたぜ。おい、ついてこい!」
「え?嫌ですよ。」
「はあぁ!いつも俺にビビってたガキが、俺様に口答えだと?死にてぇのかテメェ!」
「え?嫌ですよ。」
「うがぁー!もう容赦しねー。しねぇーー!」
そう、叫びながら大男が、右手を振り上げて、殴りつけてきた。
俺は、その拳をジッと見ている。
大男の拳が、俺の顔面を捉える寸前、俺は半歩右斜め前に踏み出し、振り返りながら、左手で大男の右手首を掴み、思いっきり引きながら、右掌底を右脇に叩き込み、更に、股の間を両足で、思いっきり蹴り上げた。
「星陰流 無刀術 変形星崩し 金的を添えて」
ドゴッと音と共に、土煙が上がった。
煙が晴れると、踏み固められた土道に、頭から突き刺さった、大男のオブジェがあるのであった。
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