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夢だと思っていたら現実だった件 ~死にたくないのでソウゾウリョクを駆使して全力で抗います~  作者: 神子島 航希
第1章 転生!?

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15.星陰流剣術

 星陰流、それは、俺が子供の頃から師事していた剣術の流派だ。


 星陰流剣術は、示現流の源流である自顕流を源流とした実践剣術である。自顕流の「先の先」をさらに突き詰め、先手で相手の体勢を崩した所に、「二の太刀要らず」の豪剣を叩き込む事を理念としている。


 星陰流の始祖は当初、自顕流の道場に通っていたが、体が小さく非力だった為、同じ自顕流門下の、体の大きな門下生達に、馬鹿にされていたそうだ。


 始祖は、体の大きな相手の体勢を、いかに崩して、有利な状況に持っていけるかを研究し、「先々の先」を見出し、力よりも先読みと速さ、そして合気で相手の体勢を崩して、馬鹿にしていた者達を見返し、道場内でも頭角を現してきていた。


 しかし、豪剣を本筋とする自顕流本流からは、姑息な技としてその理念を認めて貰えず、袂を分つ事となった。


 袂を分ったが、自顕流の理念も理解していた始祖は、「二の太刀要らず」を星陰流奥義とし、必殺の剣として、戦国の世を渡り抜いたのだ。


「先々の先」を制するには、相手の機先を読み取り、「起こり」を察知しなければならず、相手を良く観察しなければならない。星陰流では、普段から人間の動きを観察する事を修行の一環としており、筋肉の動きや目線、思考を読み取る事を常としている。俺に観察スキルがあったのはこの為である。


 先程も、大男(バカ)から声を掛けられた瞬間から、相手を観察しており、直ぐに右足に怪我をしている事に気付いた。


 通常であれば、「先々の先」を取って、先制攻撃を仕掛けるのだが、今はリノの身体の為、力の差が歴然。先制攻撃を仕掛けても、体勢を崩す事が出来ない事は明白だった。


 自分の力で、体勢を崩せないのであれば、相手の力を利用すれば良い。星陰流は、何も先制攻撃だけの流派ではない。「後の先」所謂、カウンター技もあるのだ。


 大男(バカ)を挑発して激昂させ、視野狭窄にし、攻撃を単調なものにさせる。リノが前日、足に石を落として、怪我をさせていたので、蹴りは無いと踏んだ。


 案の定、大男(バカ)は、恐らく、本人が最も得意とする右ストレートを繰り出してきた。前日に見ていた事も幸いして、簡単に躱わす事ができた。


「星陰流 無刀術 星崩し」は、無手で打撃を受け流し、相手の勢いを利用して、テコの原理で投げる技である。ただ投げるだけで無く、支点となる右掌底を、相手の顎に決め、力点は、相手の打撃の勢い+左手の引きの力、そして相手の体重だ。今回は、リノの体が小さい為、掌底を脇に決めたので「星陰流 無刀術 変形星崩し」だ。


 更には、自身の体重が軽い為、大男(バカ)の勢いに流されたので、敢えて、流れに逆らわないよう足を蹴り上げて、前転をしたのだ。金的はオマケだ。


 打撃の勢いと、体重があればあるほど威力は絶大だ。頭が、地面に突き刺さる程の威力って、コイツは本当に殺す気で殴りに来てたな。


 このまま、リノの仇を取る為にも、後顧の憂いを払う為にも、ここでトドメを刺した方がいいのだろうが、なにせ非力な子供だ。素手ではどうする事も出来ない。


 今は泡を吹いて気絶しているが、その内、目を覚ますだろう。仇を取れずに悔しくは思うが、ここは一旦逃げるのが得策か。


 腹いせに、怪我している足を殴って、その場を走り去ったのだった。


お読みいただきありがとうございます。

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