13.帰り道
俺とシンシア、アルルの3人で孤児院に向かって歩いている。
「リノ君は凄いね!あんなに早く正確に計算できるなんて。商業学校を卒業した僕よりも、難しい計算が出来るなんて尊敬しちゃうよ。」
「学校?」
「そうだよ。このイスタールには、初等学校と、それ以上の専門職用の学校があるんだよ。
初等学校は、6歳から6年間あって、学費はそれなりに掛かるけど、基礎教育をしてくれるんだ。
その後、自分が就きたい職業の、専門知識を学ぶ事が出来る専門学校があるんだけど、こっちは職業の種類によって、年数が違ったりするんだ。僕が行ってた商業学校は、3年間あって、商取引のルールや高度計算、貴族との接し方なんかも教わるんだ。」
「へぇー。他にはどんな学校があるんですか?」
「軍人になるなら軍学校かな。軍は、15歳になれば試験を受けられて合格すれば入れるけど、軍学校に行っているといきなり下士官待遇らしいよ。あと、鍛治や大工、貴金属加工、税理士、ギルド員養成学校なんかもあるよ。」
「色々あるんですね。でも、鍛治とか大工なら早くから職人さんの下に付いて、下積みした方が早く手に職が付きそうですが。」
「君、本当に僕より年下?子供の考えつく事じゃ無いよ?・・・まぁいいか。学校に行くメリットは、やっぱりコネかな。一から職人を探して、その人の下に付けるかなんて殆ど運だからね。最初からコネがあるなら別だけど。でも、学校は就職先を斡旋してくれるんだ。学校も斡旋するからには、それなりの店や職人を探してくるから、いい成績で卒業すれば、卒業後の就職先は安泰って事なんだ。」
「店や職人も、基礎知識や基礎技術がある新人を確保できるから、win-winなのか。」
「うぃんうぃん?なんだいそれ?」
「あ、気にしないで下さい。アルルさんも、ダルトンさんのお店を斡旋して貰ったんですか?」
「アルルでいいよ。さんなんてこそばゆいや。僕は父のコネかな。父とダルトンさんが、昔からの知り合いなんだ。父も商人でね。将来、店を継ぐ為の修行で、ダルトン商店で経営方法を勉強しながら働いているのさ。」
「へえ、凄いね。働く目的がしっかりとあって。」
「リノ君もちゃんと働く目的があるだろう?」
「僕もリノでいいですよ。僕はただ、みんながお腹いっぱいご飯が食べられたらって思って・・・」
「それも、立派な目的だよ。リノは優しいね。」
「そ、そうかな?」
「2人ともそろそろ着くわよ。アルル君、わざわざありがとね。」
「いえ、これくらいお安い御用です。今後とも、ダルトン商店をご贔屓に!リノ!一緒に働けるの楽しみしてるからな!」
そう叫びながらアルルは商店の方に駆けて行く。
「うん!アルルまたね!」
俺も、空いている手を大きく振って別れの挨拶をした。
しかし、思わぬ情報収集ができた。リノの記憶の中には、学校の情報は無かった。孤児院の子供達は、15歳で院を出なければならない。
大体は、それまでやっていた土木仕事や、家事手伝いの仕事を住み込みで続けるか、一念発起して冒険者になるからしい。
院を出た後、殆どの子供は、院に寄りつかないので、どの様な生活をしているか分からない。シンシアが、こうやって戻ってきて働いているのは、レアなケースなのだ。
あと、地味に住んでいる街の名前を知れた。孤児院の子供達の生活範囲が狭すぎて、街の名前すら出て来ないとは泣けてくる。
「では院長に、報告にいきますか。憂鬱ですけど・・・」
「シンシアお姉ちゃん。その事でちょっとお願いがあるんだ。」
俺は、シンシアに報告方法について相談した。
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