42:力を失った妃は……(第二妃視点)
「嘘よぉぉ……! ソワレが拘束されたなんて……!」
事件があった夕刻、王宮の奥でに第二妃の叫びが響いた。
「第一王子の暗殺の罪!? あの子にそんな真似が出来るわけないでしょう!?」
高級な家具に囲まれた自室の中で、第二妃は周囲のことなど気にせず髪を振り乱している。
「いいえ、本当のようです。目撃者も大勢おりますし、証拠も揃っております」
駆け寄ったローレンスが、困惑した表情で告げた。
「なんでなの~~~~! 余計なことをして! 何も出来ないなら出来ないなりに、大人しくしておきなさいよ! なんでわたくしの邪魔をするのよ!」
近くのソファーに置かれたクッションを順に掴み、そこら中に投げ散らかす第二妃。
「出来損ないだと思っていたけど、ここまでだなんて! どうすればいいの、王子がいなくなれば、わたくしは……」
そのとき、部屋のドアが、ノックもなく外側から開かれた。
カツカツと靴の踵を響かせ、派手なドレスを着た女が乱入してくる。
――第三妃だ。
淡いピンク色の扇を振り回し、第三妃は楽しそうにケラケラと笑った。
そして、勝手に足を組んでソファーに腰掛ける。
「あははっ、ウケる~。第二妃、ヒステリー起こしてんじゃーん。悲しんでいるかと思いきや、息子の心配どころか、自分の保身ばっかり~~~~」
「うるさい! お黙りなさい!」
「いいのかなぁ~、私にそんな口きいちゃって。あんた今、相当ヤバいよ?」
平民だった頃の口調に戻り、第三妃は顔を歪めて笑う。
「あんたの派閥の貴族、半分が私に寝返った……残りは、第一妃と第四妃のところ。社交界って怖~い」
「この、ハイエナめ!」
「褒め言葉をどうも~。こちとら何も持ってないんだから、奪えるものは奪わせてもらうわよ~♪ ごちになりましたっ♡ きゃは♡」
時に社交界では変わり身の早さが必要だ。
第二妃自身もそうしてきた。
王子は捕まり、取り巻きにも逃げられ、第二妃は国内において、他の妃から身を守る術を失った。
その後、第二妃は療養と称し、ローレンスと共に出身国へ逃げ帰ることになる。




