挿話4
要としていた者を喪い、喪失感は重くのしかかった。
自分だけではない。常に彼に付き添っていた者を初めとする幾人かが補給を拒んだ。そのため、極力動かさないことにした。繊細な思考を持つことに密かな喜びがあったことは否めない。
そして、自分自身もまた、打ちのめされていた。口が悪いのに、尾を引かないどころか小気味よさがあるほどだった。他者との交流が下手である自分にとって、かけがえのない友であり、協力者であった。それが、永遠に喪われた。
それでも、彼らを定期的に起こし、活動させる必要がある。
その矢先のことだった。
外へ出たとたん、襲撃された。捜索の手が及んでいたのだ。
いかな多種多様な技術や力を持つ者たちであっても、活力が不足していれば本領を発揮することができない。うち幾人かは激しい損傷を受けた。
『俺が食い止める!』
互いに認め合い、尊重し合っていたからこその仕儀だったのかもしれない。
十重二十重の人に押し包まれるようにして大きな姿が隠される。彼自身も損傷激しく動けない者を連れて、逃げるのに必死だった。なんとか逃げおおせたのは、ひとり残った者の活躍の賜物である。
「しつこいったらありゃしねえ」
隠れ家のひとつにたどり着いてようやっと息をついたとたん、懐かしい声を思い出す。
「ケッタクソ悪い」
口癖だ。そんな場合ではないのに、笑えてきた。笑いはすぐに涙に入れ替わる。
意識を失う直前まで、危惧し、憂えていた。その最悪の事態に陥ってしまった。
けれど、自分になにができる?
「決してあんなできごとを繰り返させやしない。これ以上は誰ひとり欠けることなんてない。必ずだ」
自分にだけそう漏らしたことがある。
それは叶わなかった。ならば、これ以上はもう奪われないように隠れているほかない。




