挿話2
本日、二回目の投稿です。
自分たち一行の中には、魔法を能く使う者がいれば、力自慢もいる。
あるいは孤高の美貌を誇りずば抜けた知能を持つ者もいる。とても可愛らしい容姿の者もいる。魔獣を物ともしない戦巧者もいる。かと思えば、事務能力に長け、家事が得意な者もいる。
さまざまな得意分野を持っているから、周囲の者たちは、そういった技能や優れた容姿に魅力を感じているのだと思っていた。というのも、うつくしい容貌の者を羨ましがり、欲しがられることは多々あったからだ。
だから、そいつが執拗に追いかけられるのだと思った。
しかし、その内実は違った。
「お抱え錬金術師ってやつはなにを考えているんだ! なんでもかんでも実験材料にするんじゃねえよ!」
まさか、その対象に自分たちまで組み込まれると聞いて唖然とするほかない。
「まあな、富と権力を手に入れたら、それを長く享受したいものなんだろうさ」
勝手に悦楽に浸っていればいい。だが、そうするために自分たちが害されるのであれば、抵抗するのみだ。
相手の動向を探ってみれば、彼らはなんと妖精までも素材とみなし捕らえているという。
「おいおい、火薬庫に火種を近づけるような真似をすれば、吹き飛ぶのは自分だけじゃないぞ」
自分の立場を分かっているのだろうか。その責は広範囲に及ぶだろう。
「となれば、国が怪物の制止に動くか?」
しかし、そうはならなかった。妖精などおとぎ話の存在に過ぎない、いたとしても人間社会の闖入者でしかないという見解を示した。
これには周辺諸国が難色を示す。妖精は実際におり、ただ、人の前には滅多に姿を現さないだけである。そして、人にはない不可思議な力を持っている。それが諸国の共通認識であり、触らぬ神に祟りなしの精神である。
情報を集めるうち、自分たちだけでなく、ほかにも追いかけまわされている者たちがいることが判明した。
「いっそそちらと手を組むか? いや、どう転がるかわからんな」
ともあれ、こちらに飛んでくる火の粉は払わなければならない。
「万全を期す。そうでなければ、死んでも死にきれない」
自分には彼らの行く末を見守る責任があった。
誰でもない自分が行わなければならない。ときにその責任の重さに押しつぶされそうになり、藁をもつかむ、なにかにすがりたい気持ちになることもある。でも、神頼みなんて、自分らしくない。
「お前らはな、自由なんだ。高度知能も情感も与えられた。創造主はその責任を取らなきゃならん」
いつだって、彼らの前では真っすぐ顔を上げていなければならない。彼らのような素晴らしい特性を持たない自分に従ってくれる、せめてもの姿勢だ。
「自分がしたくてしでかした悪事なら責任を取りゃあいい。操られて悪事をさせるなんて、そんな最悪なこと、あってたまるか。お前たちには自分の考えで動く権利がある。なのに、自分たちの知識欲を満足させたり一部分を切り出して素材にする? 物じゃないんだよ!」
常に言い続けてきた。
学習能力を持つ彼らは善悪は自分で身に付ける。欲していないのに、悪事に手を染めさせることなんてさせやしない。
自分のその考えは、彼らに浸透していた。だから、彼らは自分たちを守る以外に力をふるうことなど、ほとんどなかった。
それが無益なだけでなく、壊滅を引き寄せるのだと知っていたからだ。




