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本日、二回目の投稿です。

 

 旅に出ると言い出したソウタに、村長もおばあちゃんもワンダフルさんも驚いた。ユリなどとなりのソウタを勢いよく見ながら跳びあがるという器用なことをした。


「どういうことなの? 旅に出るって!」

「お、落ち着いて、ユリ」

 着地したとたん、ソウタの肩をつかんでがくがく揺するユリに、ろくに話すことができない。

 慌てふためく者を見ていたら冷静になれるものだ。ワンダフルさんがユリをソウタから引きはがした。


「ほら、プロペラ飛行機の修理だよ」

「どういうことよ」

「修理しようにも部品が全然足りないだろう? この村や周辺では手に入らない」

「だから、旅に出て手に入れようと言うの?」

 改めて問われると滑稽こっけいなような気もするが、ソウタは頷いた。

「一度は村を出て広い世界を見てみたいと思っていたんだ。それに、そうやって旅に出る村人も多いじゃないか」

「だからって、そんな、部品の、」

 ユリは納得がいかず、しかし筋道だって話すこともできずにいた。


 矢継ぎ早に交わされる会話に口を挟めなかった村長と駄菓子屋のおばあちゃんはようやく発言する。

「気ままは猫族の性分だから、旅するのは構わない。そういう猫族は多いからね。でも、まだ子供のソウタが危険がつきまとうことをすることは容認できないな」

「そうですよ。猫山に案内するのだって、ワンダフルさんがいたからこそお願いしたのよ」

 村長とおばあちゃんに言われてソウタはしょげた。耳も尾も力なく垂れる。


 それらの様子を見ていたワンダフルさんが両前足を腰にあて、小首を傾げた。

「ああ、じゃあ、ソウタ、俺といっしょに旅をするか?」

「「「「え?!」」」」

 今度はワンダフルさん以外の者の声がそろう。


「行く! いっしょに行きたい!」

「じゃあ、わたしも!」

 即座にソウタが食いつくと、ユリが片前足を挙げる。

「「「「え?!」」」」

 三度目の声はユリ以外の者が発した。


「いやいやいや、それではワンダフルさんに負担がかかる」

「そうよ。ワンダフルさんは冒険者なのよ? 危険な仕事を受けることもあるでしょう」

 第一、おばあちゃんが出した依頼は見つけにくいということと追手を出すような物騒な者が絡んでくる可能性があるのだ。


「正直なところ、どれほど慎重に情報を探ったとしても、相手がどういう出方をするかわからん」

 ワンダフルさんの言葉に、村長とおばあちゃんがそろって頷く。

「しかし、ソウタがいつか旅に出たとき、折に触れて探さずにはいられないだろう。猫族の獣人が旅を好むというのなら、それをはばむことはできないのだから」

 どうせ探すのであれば、自分がついている方が安全だという。

「それにソウタは魔道具いじりが好きだというから、危険な依頼を受けたときには留守番をさせておくさ」

 なるほど、ワンダフルさんの言には一理あると村長とおばあちゃんがうなずく。


「わ、わたしは!」

 話の流れからするにソウタは許可されそうだが、自分のことには触れられていないとユリは焦った声を上げる。


「お願いします。ユリもいっしょに連れて行ってください。路銀とかはその、魔道具とかアイテム玉とかを売って作ります」

 ソウタがワンダフルさんに懇願した。

「お、お願いします!」

 ユリもいっしょになって頭を下げる。


「ああ、いいよ」

「「ほんとう?!」」

「本当だ。だが、ちゃんと家族の許可をもらうんだぞ」

「「うん!」」

 そろって返事をして、ソウタとユリはぴょんぴょんとその場で何度も跳び跳ねる。


 ふたりを横目に、村長とおばあちゃんが負担ではないか、危険が大きすぎるのでは、と心配を口にする。

「ソウタとユリは良いコンビだ。それに、ユリを置いて行っても追いかけてきそうだ」

 ありそうだと確信をもって村長とおばあちゃんは頷く。


「それにふたりはとてもやさしい。見ず知らずの者でも、つらい思いをした者の求めるものなら叶えてやりたいと思う性分なんだ。俺と同行しなくても、いつかは探しに出かけていってまうだろう」

「そうねえ。だったら、ワンダフルさんといっしょに行った方が安全ね」

 とうとうおばあちゃんはワンダフルさんの言に理があると認めた。


「では、ふたりが同行する分も依頼料に上乗せしましょう」

 ワンダフルさんは自分が言い出したことだからと断ったが、結局押し切られた。いったん預かっておいてふたりの宿代や食事代に充てることにした。

 かくまった人の風体を詳しく伝えたおばあちゃんは、居場所が分かればせめて会ってくれるようにと紹介状を書いた。

「これがどれくらいの効力を発揮するか分からないけれどね。もう亡くなっているかもしれないし」


「ロケットを渡せるといいね」

「うん。生まれ故郷に帰れているといいね」

 ふたりのやさしい言葉に大人三人もまた、そうなるといいなと願った。


「ああ、そうそう。あの人の故郷にはね、この紋章の植物がたくさん育っていると言っていたわ」

「めずらしい葉の形をしているから、手がかりになるかもしれないね」

「じゃあ、植物に詳しい者に話を聞くとしよう」






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