表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/45

第22話

太郎が目を覚ますとそれに気付いた母親が声をかけた。


「太郎ちゃん。太郎ちゃん」


「うん」


「分かる?おじいちゃんのお家よ。はぁよかった」


母親は大きく息を吐いた。頬に涙が伝う。


「太郎ちゃん。どこか痛い所ない?どこか変だと思ったらママに言うのよ?」


太郎はふわふわしてまとまらない頭で母の言葉を聞いたが何を言っているのかよく理解できなかった。それよりも体がだるい。頭が重くて軽いような、そんな変な状態だった。


母親は太郎が返事しないのでまた声をかける。太郎は”うん”としか言わない。母親は一旦返事を諦めて人を呼びに立ち上がった。


すぐに太郎の父親、祖父母がやってきた。太郎が目を覚ましているのを確認して大丈夫かと聞く。


「うん。大丈夫」


太郎はゆっくりとだがしっかり返事をしだした。頭の働きが戻ってきて改めて両親の顔を見た。ふたりとも泣いている。


「なんで泣いてるの?」


「なんでもない」


「泣いてないよ」


両親は泣いているのに泣いていないと言う。太郎は自分が何か悪いことをしたのだと考えた。何をしたんだっけ?


「太郎。川でのことは憶えているか?」


祖父が太郎に聞いた。


「親父!」


父親がそれをとがめるように大きい声を出した。


「川?」


その言葉で昼間の記憶が脳裏に浮かんだ。怖くて苦しかったことを思い出したがそれよりピカピカ団子のことが頭を占めた。確かあの時ピカピカ団子が助けてくれた。


すぐに頭の上を見た。ピカピカ団子はいなかった。部屋のなかを見回してもいない。もの凄い喪失感が太郎を襲った。涙があふれて止まらなくなった。両親や祖父母に泣いてるところを見せたくないのに我慢出来なかった。


「太郎、どうした?どこか痛いか?親父!」


太郎が”川”という言葉に反応して泣き出したのをみた太郎の父親は非難を込めて自分の父を睨んだ。太郎の祖父は厳しい目つきで黙っている。


「お取込み中失礼しますよ」


「失礼。でも早い方がいい」


太郎はいきなり現れた知らない人に驚いて泣き止んだ。男と女は太郎のそばに腰を下ろすと太郎を凝視しふぅと息を吐いた。


「太郎君、お姉ちゃんの名前はリョウ。急で悪いけどこれ見てくれる?」


リョウは太郎に気の流れを見せた。右手から頭の上を越して左手へ流れるそれを太郎は目で追った。


「うん。わかった。太郎君ありがとね」


リョウはタカに目線を流し頷いた。”この子には見えている”


「ご家族の方。あとはよろしくお願いします。では我々はこれで」


タカとリョウは太郎の家族にそう告げると立ち上がり部屋を出て行こうとして振り返った。


「ああ忘れてた。太郎君・・・泣くこたない。ほら」


太郎は男が指さした方を見た。別に何もない。タンスがあるだけだ。変だと思って男の目を見ると”またな”と言って部屋から出て行った。


それからは家族が心配して優しくしてくれた。少しだけご飯を食べ、お風呂に入り、就寝となった。母親と父親に挟まれて横になった太郎は、タンスの上からピカピカの塊がふらふらと飛んでくるのを見た。先ほど男が指さしたあたりだ。


太郎はそれをピカピカ団子だと思った。しかし少し違った。それは絵本に出てくる妖精のような姿をしていた。太郎の頭と同じくらいの大きさで羽があって服らしきものを着ている。


太郎は驚いたが怖くはなかった。それがずっと一緒にいたピカピカ団子だと見てすぐ分かったからだ。形が少し変わっただけだとすんなり理解できた。


「タロー。こんにちは!あら?もうこんばんはね?でしょ?キャハハ!ね!」


ピカピカ団子だったものが喋った。形が変わっただけじゃなかったようだ。これはホントに僕のピカピカ団子かな?太郎はどう返事していいか分からずに、楽しそうに笑うピカピカの妖精を見ていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ