第18話
「おやじは仙気が見えると言った。仙気ってなんだと聞くと、それはそこら中いたるところにある光る粒だと言った。それが邪魔して見たいものが見にくくなると。俺は嘘だと信じなかった。するとおやじは手のひらを薄っすら光らせて”見えただろ?”と言った」
「いやいや。親父、そりゃ手品か何かだろ?それか光の加減とか反射とかさ」
「いや俺はちゃんと見た。確かに光っていた。しかし見た後でもお前と同じように疑ったよ。おやじはそれには何も答えなかった。その仙気、光る粒が何かも教えてはくれなかった」
「それじゃ意味ないじゃないか。面白い話だったけどもういいよ。その話は聞きたくない。違う話をしよう」
「お前のせっかちなところは相変わらずだな。最後まで聞け。細かいことはいい。だが大事なことがある。おやじは最後にこう言った”もし仙気が見える人間が家族に現れたらある人物を訪ねろ”おやじは怖いくらいに真剣な顔をしていたな」
「親父・・・なんだよ、都市伝説とか何かの陰謀論とか・・・」
「太郎は大事な孫だ。お前から目のことを聞いた時から頭にはあったんだ。だが俺にとっても胡散臭いはなしだと分かっていたから・・・話すのが遅れて悪かったな。俺だってまさかと思っていたんだよ。決めるのはお前たちだ。その人を訪ねてみるのも必要になるかもしれん。考えておけ」
太郎の父親は頭の整理がつかず、ちょっとひとりで考えると言って外へ出て行った。
太郎の父親が外へ出ていったあと、祖父は祖母から問い詰められることとなった。
「わたしにも話したことなかったわよね。お義父さんもそんなこと少しも教えてくれなったわ。さっきの話はホントなのよね?」
「本当だ」
「でも天狗と特訓?フフフ。なんか悪いけどちょっと滑稽よね?」
「そういわれるとそうだな」
「何の特訓をしてたの?」
「いや何も教えてくれなかった。でもお前も憶えてるだろう?おやじは時折家を空けることがあった。そして妙に顔が広かった」
「そうだったわね。仕事だと言っていたけど・・・そういえばお葬式の時もどういう繋がりか分からない方もいたわよね。お義母さんは知っていたの?」
「俺よりは知っていたと思う。今となっては分からん」
「お義父さんに聞いた人に会いに行くとどうなるの?」
「分からん。おやじは何も言わなかったし、俺も聞かなかった。敢えて知りたいとも思わなかったから、太郎のことがなければ忘れていたことだ」
「まぁねぇ。ちょっとオカルトみたいだもんねぇ。わたしにも話さなかった理由も分からないでもないわね」
「あとはあいつらに任せる。太郎はもう転んだりすることもないようだし、必要ないならそれでいいしな」
「そうね」




