第11話
日曜日。太郎は家から歩いて5分とかからない場所にある広い公園に来た。両親には友達と遊ぶと言って出てきた。
流れているピカピカを避け、塊を払い、車や人に気を付けながら公園の奥の片隅へ。ここにはあまり人が来ない。遊具もベンチもないただ細めの木が生えているだけの空間。
太郎はあたりをキョロキョロして人の目がないことを確認すると、この前考えたことを試すために全身にピカピカを集めた。
体が段々とぼんやりした光に包まれていく。その場で3分はじっとしていただろう太郎は急に声を上げた。
「やっぱり!」
50メートル走で走っていた時、太郎は行く手を遮るように浮かぶ霧のようなピカピカの塊に向かってどいてどいてと叫んでいた。もちろん心の内で。
すると太郎の正面だけ割れるようにピカピカの霧が開かれたのだ。太郎は走りながらこの幸運を喜んだ。そしてすぐに何か変だなと思った。
その心の引っかかりが今解消された。心の内で強く訴えかけるだけで50メートル走の時と同じようにピカピカを動かすことが出来たのだ。
全身を包むピカピカが消えた後、太郎はもう一度ピカピカにどいてくれと頼んだ。ピカピカは全く動かない。
「体全部にピカピカをくっつけなきゃダメなのかな?」
太郎は手だけ、足だけ、体だけ、頭だけと試したがピカピカは動いてくれない。全身をピカピカで覆った時だけ動くことが分かった。
「やった。やった。やった!」
今は全身をピカピカにするには時間がかかる。しかもそれはすぐに消えてしまう。しかし太郎は明るい気持ちでいっぱいだった。
全身をピカピカで包むことは出来る。ちょっと前までは出来なかったが今ではそれが出来るようになった。
これまでのように練習すればもっと長い時間出来るようになるはずだ。太郎はそう考えた。そうすればもうピカピカが邪魔になることはなくなるはずだ。
そしてその日から太郎は全身をピカピカで包む練習に熱中した。




