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「頑張れ」はやめて  作者: いしの riko


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正座

マットの上 正座


無言のままなので自分の湯呑に手を伸ばし両手で包むように持ちゆっくり回して冷ます

目は湯呑を見ているけど 緊張するなと自分に言い 深呼吸して待つ


ことりと音がしたのをきっかけに目をやる

湯呑をとり中身を確認するように覗き込んでいた


西洋風の容姿だし 知らないかも

「日本のお茶という飲み物です

和菓子が合うのですが 持ってきましょうか?」


「和菓子?あるのなら食べてみたい」


「おまちください」と言ってついでにマグカップを持ち台所へ取りに行く

昨日買っておいてよかったと 黒糖饅頭を五つほどお盆に乗せて部屋へもどる


盆のまま真ん中へそーっと置く

じ~と見られている視線を感じるけど 気にしても仕方ないと開き直って同じ場所に座る


大好きな黒糖饅頭 他人に出すなんて 私も大人になったと自分を褒めることにしよう


見た目は黒いし「?」を浮かべている気がする

「黒砂糖を使いふわふわの皮 中身はこしあんです」と説明する

私の顔と饅頭を見比べ 手を伸ばす


初めて食べるような…和菓子は知っているみたいだけど…

触感で目を見開いた顔

どんな表情も美しい顔だと見とれてしまう

と見つめていたら

こっちを見た

ドキっとしたのが顔に出た


「はじめて食べる 心が満たされるね」

良かったとにっこり笑顔 つられて笑った


「食べるのが先だったけど 自己紹介する

僕のことは『あり』と呼んでくれ この部屋を創った持ち主

忙しくてしばらく留守にしていたら 壁際にポットや収納棚なんか増えてた

このひざ掛けも」

ソファの端にかけたひざ掛けを指さしながら

無断で使っていた事実を再確認しても言い訳しようもないから開き直る


「はい、勝手に置いてしまい申し訳ありません」

「びっくりした…ここは僕以外 入れないはずなんだけど 入れてるね そこが疑問で考えてた」

「 ? 」

「君はどうやってここを見つけ 入ってきた?」

「どうやって?とは だだドアを開けて入りました」


「… ドアは無いはずなんだけど」とつぶやくように話す姿が美しい おそらく男性だと推理 美しいは失礼かなと思考中



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