動画検証に参加してみた①
「皆さん、こんばんは!『突撃!オカルトチャンネル』、略してトツオカのリーダー!タケです!」
「博士です」
「そして!本日はコラボ!」タケ
「霊も視聴者さんもこんばんは!霊媒師YouTuberのヒトミです!今日も視えるもの、感じるものを、ありのままお伝えしますっ!
そして、トツオカチャンネルの皆様、はじめましてぇ!霊媒師をしてるヒトミです!本日はよろしくお願いします!」
「ヒトミチャンネルのヒトミ先生に来ていただきました!ヒトミ先生の前半の動画では、衝撃の展開になりましたね!ホントに予想外の出来事でした!ぜひ、そちらを見てから後半の動画を見てください!」
「というわけで、急遽撮影となった動画検証をしていきます」博士
「トツオカの過去の動画で気になる現象が起こったモノがいくつもあります。今回はその答え合わせをしていきたいと思います!」タケ
「よろしくお願いしまーす!」ヒトミ
〔動画検証だって!!これは期待できるねー!やっぱりサエちゃんの動画じゃない?!初ロケのやつとぉ、廃村とぉ、筒村トンネル!〕
〔廃村は特に何も起こらなかったよ?〕
〔でも叫びまくったんでしょー?〕
〔そうだけど…〕
〔フン…。過去ノ 動画ナンテ見テ、ドウスルンダ。過去ニ 起コッタ事ヲ 知ッテモ ドウスルコトモ デキナイダロウ〕
〔自分が活躍してないからって…。サエちゃんの勇姿を見て、タジュも見習いなっ〕
〔見習ウッテ ナンダ!必要ナイ!俺ハ 呪物ダゾッ!〕
〔わたしとサエちゃんもそうだよっ!〕
〔女ハ 口出シ スルナ!〕
〔何をー!!!〕
外野でやいのやいの言ってる声が聞こえてるヒトミさんは、肩を震わせていた。
はるちゃんとタジュのコンボが好きらしい。
トツオカはそんな様子に気がつかず、動画を探している。
「ええっと…。まずはやっぱりコレかな」タケ
「神社な」博士
「視聴者リクエストも多いし、色々と転機になった動画だもんな」マモル
ポチポチとクリックして、
「まずはコレをお願いします」
パソコン画面を見せた。
「コレはサエちゃんが瞬きをした現象後、初めてロケに行った時の動画なんですけど…」博士
「めちゃくちゃ現象が起こって、俺は声を聞いて、博士は体調不良で高熱を出したんです」
「なるほど…。拝見しますね」
ヒトミさんは動画を見始めた。
〔ちょっと懐かしさがあるよねー。サエちゃん奮闘した甲斐があった初ロケ!〕
〔懐かしいのは確かだね。まだ半年くらいなんだ…。案外、時間が経ってないもんだね〕
〔だねー〕
トツオカの解説が入りつつ、動画を見終わったヒトミさんはこの場所について語りだした。
「ここは由緒ある神社なんですね。山に巣食うモノを抑えるため、ここに建てられたみたいです。今もソイツはここに居着いていますけど…だんだんと抑えが効かなくなってるみたいです。所々に黒いモヤが見えます。神社の鳥居に着くまでの竹藪…あそこから雰囲気が変わりますね」
「そう!あそこから変な音が聞こえ始めたんですよ!」タケ
「オープニングで映ってた霊が一切いなくなってます。彼らも近づきたくないんでしょうね」ヒトミ
「そうなんだ…」マモル
「鳥居をくぐる前。ここでサエちゃんが警告してますよ。博士さんが『頭痛がする』って言い始めたところです」ヒトミ
〔おお〜っ!動画内でもサエちゃんの声が聴こえるんだ!〕
「ちなみに、なんて警告してるんですか?」マサ
「『博士の感覚は正しいよ。具合が悪くなる前に引き返そうよ!』って。
鳥居の奥に進んで、タケさんが柵を掴んで奥を覗いてますよね。ここ——」
ポチッと動画を止めると、
「この柵の奥は、もう向こうの領域です。山はモヤに覆われてて、柵を超えたタケさんの上半身を喰ってます」
ヒトミさんはあたしが見えていた状況と同じ内容をトツオカに伝える。
「く、喰ってる…?」
タケが真っ青になった。
「はい。ほら、ここで博士さんが体調不良おこしてますよね」
クリックして動画を再生すると、音声が部屋に響く。
『「うっ…。タケ、そこに立ってて平気か?」博士
「え?何が?」タケ
「いや…柵の奥……凄く嫌な感じがするから……」博士
「えっ?そう?」タケ
「ここにいるだけでも、頭痛が凄いんだよ…」博士
「確かに……顔色ヤバいな」マサ
「おい、大丈夫か?真っ青じゃん!少し休むか?」タケ』」
ここで停止。
「それで、この次——。ここで〔あぁ……残念……〕って聞こえます。その瞬間、タケさんが——
『「え?」』
ほら、勢いよく振り返って反応してますよね」
「確かに…」マサ
「ホントだ…」マモル
動画はまた再生され、続きの声が流れる。
『「どうした?」博士
「何見てんの?」マサ
「なんかあった?」マモル
「……今、何か聞こえなかったか?」タケ
「いや」「何も」「俺も聞こえてない」
「いや、何か聞こえたって!」タケ
「どの辺りから?」マサ
「どこって…上手く言えないけど……山の方だ」タケ』
ここでまた一旦停止。
「サエちゃんはここでもタケさんを心配してます。黒いモヤに体を覆われた時驚いてますし、この後、鳥居に戻る時も博士さんを心配してます。『無理しちゃ駄目だよ。気分悪いならちゃんと言った方がいい。後から反動がくるかもしれないよ?』だそうです」
ヒトミさんが通訳すると、博士もタケも痛々しい声になった。
「そうだったんだ…」博士
「結構心配かけてたんだな…」タケ
コクリと頷くと、ヒトミさんはまた動画解説に戻った。
「その後、鳥居に戻って右手の道に進みますよね?この参道にすごい数の霊がいまして…左右からひっきりなしに声がしてます。誘ってる声ですね。良くない霊ばかりで、タケさんには聞こえてるみたいです。
『「なんか…この道、凄い声がしないか?」』
って言ってますし。
多少霊感がある博士さんも狙われてますね。
『「俺は…ちょっと気持ち悪いかも…」』
って青白い顔で言ってます。
この参道を歩いてる時、ずっとサエちゃんが霊を追い払ってますよ。大声出して必死に4人に近づけさせまいと奮闘してます。私の耳にはトツオカさん達の会話が聞こえないです」
「ええっ?!」タケ
「そんなに?」博士
「はい。ほら…サエちゃんが熱くなってる、って博士さんが言ってますよね?」
ここでまた動画音声が流れる。
『「…なぁ、さらに怖いこと言っていいか?」博士
「……なんだよ」タケ
「さっきからサエちゃんが熱い。俺の体温が伝わって、とかじゃなくて…。持ってるのがキツイくらい熱いんだけど…」博士
「「「は?」」」
「確かに…」「熱いな」「嘘だろ?!」』
停止が押されるとしん…と室内が静まり返る。
全員がゴクリ、と息を呑んだのが分かった。
「本当だ…」マサ
「サエちゃんが熱くなったのは、除霊?をしてたからってことですか?」タケ
「そうですね。除霊というより牽制ですけど、本当に頑張ってますよ。すごいな…。健気すぎて応援したくなります」
ヒトミさんは目を細め、優しく微笑んだ。
その顔が本当に優しくて、あたしは思わず胸にぐっと感動がこみ上げた。
初めて人間に褒められた。
そっか…。
うん…頑張って良かった。
良かったよ。
「この後、奥の祠のシーンですね。
ここでも神社の裏手と同じモヤが見えます。特に現象はありませんけど…マモルさんは寒気を感じてますね。この場所はちゃんと結界を張り直した方が良さそうです。遠くない未来、結界は破られるでしょうから。
この動画は、これくらいでしょうか」ヒトミ
4人はふーっと長く息を吐いた。
「なんか……いきなり凄かった」マサ
「サエちゃんが熱くなった理由が、まさか悪霊を牽制したせいだったとは…」博士
「そんなに必死に守ってくれたんだな」マモル
トツオカがあたしを見た。
「ありがとう、サエちゃん」タケ
今なら目が彼らと合う。
初めてトツオカと通じた気がした。
〔良かったね、サエちゃん〕
はるちゃんが優しく声をかけてくれた。
〔やっとみんなに伝わって、わたしも嬉しいよ〕
〔うん…。ありがとう、はるちゃん〕
あたし達は微笑み合う。
ずっと見てきてくれた友達だ。
ちゃんとはるちゃんにもこの結果を知ってもらえて良かった。
しんみりとするあたし達の雰囲気に呑まれるように、トツオカもまた感慨深い顔をしていた。
「この動画は視聴者コメントも凄くて。霊感ある人達からは『凄く声が聴こえる』って言われてたんです。霊の声とばっかり思ってたけど、サエちゃんの牽制する声だったのかな…」タケ
「それもあるでしょうね」ヒトミ
「俺ら霊感無いから…。視聴者が言ってる声は全部霊だと思って怯えてたけど、違ったんだな」マモル
「サエちゃんには悪いことしたな」博士
「「だな」」
マサとマモルが頷いて、
「一本目からサエちゃんの真相を知れたな」
タケが笑った。
「ああ。良かったよ」博士
「なら、2本目の動画も何かあるのかな?」マサ
「あれも現象凄かったもんな」マモル
タケは次の動画を画面に表示した。
「次は最近の動画で、心霊スポットとして有名な筒村トンネルに行った時のものです」タケ
「ああ、ここは来週に行く予定なんですよ。私のチャンネルでもリクエストが凄くて。噂だけは聞いてるんですけど」ヒトミ
「そうなんですね」博士
「なんか導きを感じますね」ヒトミ
「ここではほぼ全員が異変を感じて…。後日、体調不良を起こしたとかはないんですけど、とにかく気味が悪かったんです。とにかく見てください」
そして、動画が再生された。




