後出し
〔あぁ? 声だぁ?〕
景が社に姿を見せて、阿吽が面白くねぇ情報を出してきやがった…
「おぬしには届いておらなんだか。まぁ――」
そォだよ、俺にゃ聞こえなかった。鼻だけじゃなく、耳まで利いてねぇんかよ。
凪が俺を見上げる。…ンな顔すんなよ、別に拗ねてねぇからよ。
「――邪気を釣り上げられて他まで持っていかれておったら、我らも立つ瀬がなかったわ」
「ふふふ…良いとこ無しにならず、助かりましたね」
こいつら気ぃ使って……いや、そんな感じじゃねぇな。
釣り上げたのは凪の力が大きいと思ってっから、そういった面ではイマイチ喜べてなかったんだが…
見上げる凪の顔が嬉しそうなもんに変わってんだから、まぁ…せっかくだし、どっちもありがたく貰っとくわ。
「アタシらも邪気モグラに繋がるヒント出してたんだから、これで同点な!」
…結が急に張り合ってきた理由が分かんねぇ……こともねぇな。さっきまでの俺じゃねぇか。
〔おーおー。んじゃ俺らで勝負でもすっか? 凪、湊、景で持ち寄った情報がデカきゃ勝ちだ!〕
「お前大丈夫か? ケイやミナトと比べたら、数で劣ってんじゃん」
〔ふん、甘くみるなよ? あの邪気モグラを真似りゃ、お前らと違っていくらでも兵隊は造れるんだからよ!〕
……
空気が凍ったな? 何で全員、俺見てんだ?
おいおい、さっきまでの勢いはどこ行ったんだよ? せめて表情くらい持たせろよ気持ちわりぃ…
〔あん? 何だよ? …あー、あれか? “兵隊”って表現が悪かったか? いや、俺から出る邪気を重ねて造るだけだからな? 別に意思あるヤツらをアゴで使おうとか、そんな趣味悪いもんじゃねぇぞ? 俺の邪気は、周囲を汚さないように気ィ使う事もできんだぜ? そうしなきゃ周囲の気でゴリゴリ削られて消えちまうからだが…〕
……なんか言えよ。
さっきから本殿横にチラチラ見切れてる宮司も相俟って、不必要に不安を煽ってくんだが…
「…おそらく、皆が思っているのはそこではなく…いえ、そこも大いに気になりますが…」
「おぬしの言う、邪気モグラ…あの釣り上げたやつじゃろう? 我らはただの邪気と見ておったのだが…それ以上の何かを知っておるのか?」
ん? 当たり前のように俺ン中に入ってきたから、特別なもんじゃねぇと思って口に出してねぇな。
言われりゃ確かに、これまで持ってなかった知識だわコレ…
〔…悪ぃ。モグラだけじゃなく、情報まで飲み込んでたわ〕
―――
「邪気モグラに意思がないってのは、ミナトから聞いてたけどさぁ」
「それ、楓情報だったからね…伏せられた情報とか、まんまとやられたかも」
湊が俺を揶揄うようにクスクスと笑うふりしながら景と話してやがる。
いや、そんな素振りの方が助かるよ。気まずいったらありゃしねぇ。
「いくつかの動作を覚えさせて動かすとか、もうそれマクロじゃん。めっちゃ面白い」
〔マクロ?〕
「今言ったまんま。ちっさなプログラムだよ。楓は実物が動かせるって言うなら、マジで羨ましい」
「おぉー、楓が更に賢くなっちゃう」
へっ。お前ら……今度、なんか用意しとくわ。
「楓ぇー。新しい必殺技作れるなー」
〔おぉよ! …なんか今は自動追尾し続ける悪魔みたいなのしか浮かばねぇが〕
「「うわぁ…」」
…湊と景は苦笑いしてやがる。
いや、俺もそんな運用しねぇよ! …多分。
結は面白くなさそうな顔してんなぁ…
「楓さぁ、それ、ポイントに入んの?」
ポイント? 情報がデカいヤツが勝ちとしか言ってねぇが…合計ポイントがデカいヤツが勝ちって流れになってんのか?
〔拘ってんなぁ……言い出したのは俺か。これは勝負の前に得たモンだから、入れるつもりはねぇよ〕
「やっはー! じゃあ全く問題無しだ! ケイ! ほら早く行こう!!」
「じゃから、明日からだと言うたじゃろ…」
あと引かねぇのは面倒くさくねぇから助かるわ。結は面白ぇヤツだ。
ンだ? もう夕方か…明日までの猶予。凪と一緒にマクロってのを考える時間に突入か……心が踊る。
俺の感情がうつったのか、凪自身も昂ってたんか分かんねぇが、顔を合わせたらお互い笑顔が抑えらんねぇ…こりゃたまんねぇな!




