↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
85/116

大翔(午前)


 凪と楓の一件から、考え無しに力を振り回すことの危険さを知ったし、“動く前に確認しとこ”って所(とこ)に落ち着いた。


 んで、アタシたちはケイの家から近い、いつもの社に来てる。


 アタシとケイが本殿に向かって手を合わせている間、吽形が氏神へ“弓の力”と“人の心に巣食う邪気を祓う”件を伝えてくれた。


『景くん、結。御祭神より、“この辺ではそういった(凪みたいな)件は無い、安心せよ。無理はせぬように”、といただけました』


 吽形の言葉を聞いて、ケイの視線がアタシに向いた。

 めっちゃ安心した顔してる。


 あれ? 誰かこっちに来る…大翔《ひろと》じゃん。


「ごめん、待たせたよね。どうしても気になってね」


―――


 そういえば、大翔に陽菜《ひな》を迎えに来てもらう時に、ケイが携帯番号を教えてた。

 そこからケイとはメールで連絡を取り合ってたらしい。アタシ、初耳なんだけど…いいけどさ。


 それより、ココでアタシらを見える人間と会えるとは思ってなかった。

 だから――


「…ケイ、ちょっとワクワクしない?」


「する、する!」


 アタシたちの会話を聞いて、大翔が安心するように微笑んだ。


『ささ、皆(みな)揃いましたし、早速仕事へ取り掛かりましょう!』

 

「鬼退治に行くぞー!」

「おー!」


「…」


 無言だった大翔の表情から、なんか神妙なのを感じた。…なに? どしたの?


―――


 景気良く声をあげて社を出てみたけど、別にこの辺は治安が悪いわけじゃない。

 ゴミとかタバコのポイ捨てするヤツくらいしか、実際には見たこと無い。


 まぁ、そういったのに出会えればね、って感じで散歩が始まった。


 もちろん、いつでも鬼退治できるようにアタシたちは臨戦態勢だ。

 この最強状態は、社と気で繋がってないから超《チョー》、楽《らく》。

 禍…楓が恐れるほどの加護を持った大翔が味方なのも心強い。


 …アタシたちは、日中にどんな敵を想定してんの?

 冷静になると、過剰な備えに…少し引いた。


「本当は陽菜を交えてお礼をしたかったんだけどね。…彼女は僕と会う時は二人きりが良いみたいで…」


 暇なのか、大翔が話し出した。

 初めて会ったときアタシたちみんな霊体だったから、違和感なんて感じてなさそう。

 あと、なんか勝手に少し陰った。変なやつ。


「君たちには、本当に感謝しているよ。ありがとう」


 えっ、なに?

 こういった活動してて、初めて人間に感謝の気持ちを向けられた気がする。

 思わずケイと吽形を見てニヤけてしまった。


〈でも大翔さん、オレたちじゃなくて、陽菜さんと一緒にいた方が良かったんじゃない?〉


 あ、陽菜絡みの話題だと陰りが積み重なってく。

 想うトコが多すぎる感じ?


「今日は急遽、休みを貰えてね。…大丈夫、陽菜とは明日会う約束してるから」


 …弱い邪気って人の心からも生まれるんだよ。

 やんわり陰ってる大翔の負の感情も、放っておけば周囲に感染しちゃう。


〈ていっ!〉


 ケイが吽形から渡された矢を、そのまま大翔に放った。

 矢が大翔に当たった瞬間、刺さるのではなくて全身に広がって闇を押し出すようにして祓った。

 …これが鬼退治の効果? 鬼退治って、人に巣食う闇(鬼)を祓って救ったの?


「っ、凄いね、親友の言葉で慰められたみたいだ。僕のお借りしている加護は、心には届きにくくてね」


『心に巣食った負の感情…土地を気で満たしても祓えないとなると、厄介なものですねぇ』


 わかる。塞ぎ込んでる時とか、周囲(まわり)は見えなくなるよね。

 最後に必要になるのは、神の力ではない! 人の想いだ! なんちゃって。


「陽菜が側にいてくれれば、平気なんだけどね…ははは」


 …本当、お前ら(陽菜と大翔)も変な関係だね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。