↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
82/118

次の目標


 昼食を終えた凪と母親の瑞穂《みずほ》が団欒中だ。


 退屈なほど優しい時間が流れ、よく似た二つの笑顔が俺の心を埋めていった。


 俺と出会った頃に見せたものとは違う、柔らかい笑顔。

 悪くねぇが、あの頃の…争うような状況で見せた笑顔も嫌いじゃなかったんだがな。



 暫くして、アイツ《狛犬》らが居る社の宮司…国治(くにはる)が、瑞穂を病院に連れて行った。

 凪の言う“おじさん”が宮司って、なんの因果だよ…


 ちなみに、俺の“死を覚悟した3選” の一つはコイツ(宮司)だ。後は容赦を忘れた白犬と、陽菜。

 …俺ぁ、人の世に足を踏み入れて間もないってのによぉ…物騒な世界(とこ)だよなぁ。


 最近じゃ凪と瑞穂の体調も随分とよくなり、国治から滲み出ていた“清らかすぎる殺気”は、なりを潜《ひそ》めた。

 振り返って気づいたが、俺は国治(コイツ)に人の世界に蔓延(はびこ)るストレスってのを感じてたんだな。もうアレは勘弁してほしいもんだ。


―――


「ナギ〜! 元気そうやん! 神社に行くのか?」

「ほんとだ、ナギだ!」

「うわ。めっちゃ久しぶりに見た」


 社に向かう道中、元気そうなガキどもと遭遇した。

 一人はナギを気にかけて家にも訪ねてくるハムカツって奴だ。不思議な名前だが、俺がコイツの名前を笑うことはない。良いやつだ。


 凪はマイペースが持ち味なんだが、一斉に話しかけられると辿々(たどたど)しいのがウケる。…だが、程々にしといてくれよ。

 ハムカツが頃合いを計って、凪を取り囲む連中を連れて離れて行くのを見送った。アイツぁ出来る奴だ。


「疲れたー…」


 凪が軽く零した後、社に向かって自転車を漕ぎ出した。

 ちょっと前なら、“帰る”って言葉が続いたんだがな。


「楓さー。どっか行きたいとこ…観たいものとかあるー?」


 “ボクがオマエといれば元気になれる気がする。そしたら一緒に色んなトコ行けるぞ?”


 初めてお前に会った日に誘われた言葉を思い出したぜ。

 子供ながらに義理堅いのは偉ぇよ。


〔俺ぁ、遠慮しねぇぞ?〕


「いいぞー。あの世、とかじゃなきゃなー」


〔…それは最後に取っとくよ〕


 また違う笑顔を見せた凪と、一連の会話から余裕を感じる。

 やっぱ俺、消えるタイミングは大翔(あ)ん時がかっこ良かったんじゃねぇか?


「でー?」


 これ、続くのか。んじゃ…


〔紅葉《こうよう》、観てぇな〕


―――


〔凪…社で、また何か起きてんぞ…〕

「ふーん。よいしょ」


 鳥居の側で凪が自転車を停めたあたりで、結界を越えてくる清い気配。いつもいつも賑やかなこって…


 凪が石段を登り終えると、見知らぬ霊体のガキが持つ2張りの弓に目を持ってかれた。

 狛犬どもや陽菜、大翔の加護を超える畏怖しか感じねぇ…俺の周りにゃ消滅(死)が溢れてんな。


「あ、ナギくん。こんにちは」


 湊の挨拶から始まり、吽形から簡単な状況を聞いたが…その弓を俺に向けて引くなよ? それは俺に効く。消えるタイミングミスった上に事故で消滅なんざ、ダサくて悔いしか残らねぇよ…


 話が落ち着いたあたりで、ずっと視線を送ってきていた響が寄ってきやがった。

 狛犬どもに弓を渡したのは確認したが、他には何も持ってねぇな? 持ってねぇよな?


 響が身に纏っている力は、狛犬どもが扱う気とは大きく違う。節操なく周囲を染めるようなモンじゃねぇ。神のお使いで単身狛犬網を通ってきたらしいが…言えたギリじゃねぇが、この辺だけでも格の違いってのを思い知るわ…


〈凪っち、楓って…ちょ〜カッコよくない?〉


 ん? お? なんだお前…


〈みぃんな白(清)いのに、一人だけ黒(邪)。俺らと違って体に宿した闇のパゥアー! 放つだけの俺らと違って、邪気を吸収して身体強化、それを時に放つ! …やっぱカッコ良すぎるのでは?〉


 なんだそのポーズ、お前もカッコいいじゃねーか…気持ちのいい奴だ。


「おおー? おー!」


 いや凪、響の真似は…仕事をこなした後にしようぜ?


「こら楓っ! 境内で無闇矢鱈(むやみやたら)に邪気を放つでないわっ!!」


以下はAIで作成したイメージです。ふわっと認識してください。

(このイラストのみAI作成です)

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。