隣
この子がみんなして探してたナギかぁ…見慣れたケイやミナトと違って華奢な感じ。
ただ、太々《ふてぶて》しくて媚びない感じが、ちゃんと子供っぽい。
ケイが話しかけても「ふんふん」言いながら「もぐもぐ」するのが可愛い。
…やたら丁寧に咀嚼するな。
「表の電動アシスト付き自転車はナギくんの?」
説明するには長い名前の乗り物だな…
「んー」
頷いたから、阿形の予測通りか。
お、履き物を引きずる感じで足音が近づいてきた。
ケイとミナトが顔を向けた先、輝かせた目に映ってるのは…和子がカツ丼を乗せたお盆を持った姿。
そんな子供たちを見た和子も笑顔が膨れ上がった。わかる。
「はーい、お待たせぇ」
「ありがとう!」
「ありがとうございますっ!」
「「いただきますっ!」」
食べ始めるの早っ。
ケイたちの言葉攻めから解放されたあたりから、ナギも黙々と食べ続けてた。
―――
あー、子供達が必死にご飯を頬張る姿が可愛い。
何だろう、庇護欲?
アタシ、そんなの持ってんのかな?
ハムカツ。あの凄い名前の子。
聞かされる話だけなら記憶引き継いで輪廻転生してそうな子。
あの子がここにいたらどんな感じに混ざるのか気になる。
いや、普通に黙々と食べるか。
「ナギ、あの自転車で神社まで登ったの?」
「うん。登ったー」
「マジで? 凄くない?」
咀嚼を再開したナギを見たミナトが割り込んできた。
「アシストのヤツ、ホント楽に坂道登れるんだよ」
「えっ、マジ? ミナトも乗ったことあんの?」
「あるある」
ミナトの言葉に頷きながら、咀嚼するナギを見てると、普通に仲のいい友達って感じだな。
ん? 何だよ、阿形…気が漏れてない?
可愛いを優先するから、後でな。
ミナトが道の傾斜を腕の傾きで表現したら、置かれた調味料を持ったナギがそこを滑るように登らせて、それを見たケイが笑いを堪えきれず、口を押さえてる。
咀嚼中に笑って米飛ばしたら、爺さん怖いからな。
「ナギくん、具合は良くなったの?」
「んー? んー、最近はかなりー」
「ナギは運動得意じゃないだけで、具合悪いのはナギのお母さんのイメージだなぁ」
うわっ、そこ踏み込んでいいの?
「最近はお見舞いに行くたびに、かーさんも元気をもらえたみたいって笑ってくれる。うれしい」
「わぁ。良かった」
「うん、良かった」
あぁ、良かった…
子供たちがみんな笑顔。
ん? もう、ちょっと何だよ?
何だっけ? 禍? さっきから邪気漏れて邪魔なんだけど…阿形から漏れてる気でもぶつけて散らしとくな。
「じゃあ、今日もお見舞い行くの?」
「夕方くらいに、おじさんと行く予定ー」
ちょっ、子供たちの話が入らないくらいに阿形から気が溢れ出してるんだけど…
一旦は禍の方に流してたけど…今更だけどこの量、大丈夫か?
禍からちょくちょく視線は感じるけど、嫌がってるわけでもなさそうだし…
じゃあいっか。
「ナギ、顔色悪くない?」
あっ、何?
ホントだ、ナギの顔色が悪くなってる…急にどうしたの?
心配されながら帰っていったけど、禍も一緒なら大丈夫な気がする。
そういえば、禍って何?
そうそう。友達想いなケイは、やっぱり一番可愛い。




