見守り
爺さんと婆さんの間で一緒に寝息を立てるケイを眺めながら、今日を振り返ってた。
色々ありすぎだろう、ホントに…
社のことは明日もう一度詳しく聞くにしても、アイツらの顔見ながらだと、聞きたいことがズレていくんだよなぁ…
ケイの枕元に置かれた石の横で、お守りがわずかに気を帯びた。
(結…起きてますか?)
アタシら寝ないだろ…え?
(吽形? 分け身と本体は一つに戻ったんじゃないの?)
(そうですが? 今は以前のように境内から意識を伸ばしております)
…しっかりしてんな。
じゃあ、いつ力を込めてたんだよ? あぁ、アタシの話聞いてなかった時か…
(ご心配をおかけいたしました。…あなたたちが帰る頃には、また分け身として付いて行けますからね)
…聞きにくいとこ、教えてくれたな。
オマエ、やっぱデキる奴だよ。
ありがと
(で? 今日のこと、話に来てくれたのか?)
(察しが良いですね。あの場に居なかったあなたにも、私たちの推測を聞いていただきたいのです)
―――
社で起こった事と、阿吽が見た同じ夢の話を一通り聞いた。
(…このへんも含めて、社の主祭神は何か言ってるの? 繋がりも強くなってきたんだろ?)
(失態の謝罪を兼ねた報告を行ったのですが…何故か期待を込めた想いを賜りました)
期待?
(…オマエらの言葉を借りるなら、この辺も織り込み済みなんじゃないか? きっとアタシたちが間に合って、阿吽も無事に済むとわかってたとか)
…そう考えると、なんか神様ってつまんないな…
(私と阿形が見た夢は、今回と結果が異なっていました。なんらかのズレが発生して介入なさったのだと思っています)
えっ?
(社に…神様来ちゃったの?)
(いえ、顕現されたのではなく、湊くんや景くんのお守りのように、力を貸されているのかと)
…それもう…いや、いいか。
もうわかってんだろうな。
(オマエらが見せられたのは主祭神が想定していた未来で、それとズレたから介入してきた?)
(…介入せざるを得ないほどにズレた方向が気になって、気になって…気になってるんですよ)
あぁ、そこに後押しが欲しくてきたのか…なんか可愛いな。
(んふふ、間違いなく前倒しでズレてるから胸を張る! 根拠なんか無いけど、アタシらはこれ以上無理なくらいに頑張ってる! 神様もそのへんが好転してて嬉しいから期待されたんだろ?)
(…そうですよね、ふふ。あっ、阿形、ちょっと喧しいです…)
きちんと進む方向を定めて歩んでるんだから、安心していいって言ってくれてんだよ。
ちゃんと見守ってくれてんだよ。
―――
「結。今日は凪探しに行くよ」
布団を畳んだケイが着替えながら話しかけてきた。
何? 誰? あぁ、禍と一緒にいる子か。
「…えっ? 危なくない?」
「んー、オレたちの知ってる凪と、ちょっと違うんだよ。ご飯食べたら神社――」
「景〜! ご飯食べたら、先に宿題しなさいね〜」
婆さんの張った声が聞こえる。
「――行く前に宿題しなきゃなぁ…」
あはは、いい顔するぅ。




