幕間 若葉
歩道を歩いてたらコンビニの前で病院を見上げる男の子がいた。
あんな若いのに、色々憑いちゃって…
病院を見てたのもその辺があんのか?
アタシは見えるだけだから…ごめんな。
…帰って寝よ。
〈おねーさーん〉
うわ何?
イヤホンから変な声したんだけど…?
〈おねえさん〉
外しても聞こえる…
立ち止まってたアタシの傍から前に何か回り込んできた。
さっきの男の子の周りに憑いてたヤツの一つじゃん…
マジかぁ…ジャンル違うの知ってるけど、玉依姫さま、どうにかなんないです?
お守りを入れたバッグを見たら、首を振る姿が見えた。ダメか。
〈おねえさん〉
何度も呼ぶな、怖ぇよ。
コイツの頭ごしに前見とこ。
〈見えてるよね?〉
怖えぇ〜…
ーーー
携帯に番号と名前を控えさせられた。
この番号に掛けたり掛けられたりしたら、アタシは死ぬのか?
〈あと、おねーさんの携帯の番号を教えて。あとで僕の番号から掛かってきたら、その先の話を信じて欲しいんだ〉
…ナンパか?
〈絶対、危ないことなんてないから!〉
…詐欺か?
〈あっ、ちょっ…ごめんおねーさん、番号を…〉
ん? なんかこいつ、引っ張られてるな。
「仕方ねーな…」
番号を教えたら、引っ張られる力に逆らうのをやめて、そのまま来た道を引き摺られて消えていった。
…寝て忘れよう。
ーーー
…寝てた。
まだ明るいけど、早朝なのか夕方なのかわからん…
しゅぽ
携帯? 誰?
《眠そうな顔のお姉さんの携帯ですか?》
喧嘩売ってんのか
〈違います〉
あ、これ名前出たから返信したけど、さっきのヤツか…失敗した
《よかった》
どうゆうことだよ
《お姉さん、神様見えてますよね?》
―――
「えへへ。玉依姫さま。アタシいい人らしいよ? …神様見える人だからって」
テーブルの上に置かれたお守りに座る玉依姫が首を傾げてる。
…そうだよねぇ。
良いとか悪いとか、曖昧だもんなぁ。
誰にも話してないトコロに入り込まれたから、これ詐欺ならアタシはワンアウトだ。
「玉依姫さま。アタシじゃなくて、周りの女のコばっかり結婚していくのはナンデ?」
なんか顔を背けられた。
冷蔵庫に冷やしてあった日本酒を開けて、お守りの前へと供えた。
目を伏せ手を合わせると、お酒に手を伸ばしてくれる。
もう、アタシの話を聞くしかないよね?
「もしかして、あの子がアタシの相手になったりする? でも年下すぎない?」
メールしてきたってことは、実体もあるよな?
あの見た目と話し方なら、中身はあれより若いことはないだろうし、おじいちゃんでもないだろ。
あー、そういうこと?
やっとこれから縁が巡りだすか?
「次は同い年くらいがいいです!」
勝手に機嫌が良くなったアタシは、玉依姫が一瞬の隙を見て姿を消すまで、詳細な希望を伝えながらお酌を続けてた。




