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参る石、商店街完了


 まだ梅雨は明けておらぬが、雨のない曇り空の日中。

 ワシは境内から見える景色を見下ろしておった。


 我らが掲げた参る石(まいるすとーん)は、達成に伴い人々を呼び込んでおるように思える。


「この土地の農作物は、最近評判が良いようです。このまま、より多くの人々に知ってもらいたいですね」


 我らの側で宮司が話し出した…が、今日はそこにおるのを知っておった。


「ふふふ、えぇ。今年は町全体が何かと活気だってきて、人手が足りないくらい。宿の利用客も増えてきたと聞いてますから、本当に嬉しい」


 …そう、宇美が宮司と一緒に行動しておったからじゃ。

 社でこんなふうに微笑む宇美を感じたのは、こやつが一度此処を離れる前のことじゃろうか。

 町も、人の心も良い方向へと向かっておるんじゃな。


 ワシは離れてゆく二人を見届けた後、吽形に問いかけた。


「のう吽形、宇美から教わった参る石(まいるすとーん)、そろそろ次へと進む時かもしれんな」


 商店街を中心に我らが流した気は、梅雨の長雨により周辺の田畑や主要道路へゆるりと流れ、主様が納める土地全体へと行き渡った。

 次を考えるなら山側じゃな。


「商店街。気がつけば周辺を含めて気で満たされていたのですね。…阿形、もしかして台座の気が染み出しておりませんか?」


「いや、それよりも主様と社の繋がりが強まっておるのが判る。主様の神気のおかげが強かろう」


 吽形は軽口に乗らなかったワシに、肩透かしを食らったように目を伏せ微笑んだ。


「宮司さんを呼べたこと、そして社での神事。少しずつ、信仰が得られ始めたのですね」


「すべてのきっかけは、湊との出会いじゃと思うとるよ」


「ずるいですね阿形。私だってそう思っています」


 感謝を噛み締めるように、我らは笑い合った。


―――


 この日、一人になった宮司がワシの狛犬像へと近づいてきた。

 …なんじゃ? 宇美とは違う怖さがあるんじゃが…


 宇美にやられた台座の欠けた部分に触れ、なんとも言えぬ表情を見せた後、この日は独り言もなく去っていった。


 …本当になんだったんじゃ?

 吽形とお互い首を傾げて顔を見合わせた。


―――


 今日は狛犬像に感じぬ程度の小雨の降る朝を迎えた。


 “梅雨が明けたら山へと繰り出そう”

 先日はタブレット越しに羨むような表情の景をよそに、気合の入ったいつもの湊を眺めていた。


 当たり前のように過ごす日々に、これほど心が潤わされるとは…贅沢なものじゃな。


「阿形」


 …うむ。

 吽形と同時に本殿の裏に幾つかの気配を感じた。


「どれも悪しき気配ではないが、知らぬものばかりじゃな…」


 宮司の件もある。

 ワシは感覚と共に、目による確認を強めた。


 しばらくして見かけぬ作業着を着た6人の男と、宮司の姿が目に入った。


 …?


 社家や畑の手入れに来ていた者たちではない。

 男たちは拝殿で一礼した後、宮司へと向いておる。

 

「それでは、よろしくお願いいたします」


 宮司の一言を受けた男たちは、一斉にこっちを向いた。



 ――先日、宮司が触れた、欠けた台座――

 ワシは背筋が凍った


参る石(まいるすとーん)

・海(砂浜):達成(都度様子を見る必要はある)

・商店街:達成(都度様子を見る必要はある)

・主要道路:達成(副次的に)

・山側の宿泊施設:梅雨明けを予定

→ゴール(社の参拝者獲得による主祭神との繋がり強化、町の活性化によるお祭り開催)


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