ある日の結
お守りだけじゃなく携帯にまで繋がり始めたか…思ったより早かったな。
そのうち隣に霊体のアイツらが座ってそう。
「…阿吽と一緒に行動できるとか、ズルくない?」
ケイがなんか言い出した。
まぁ、わかるけど…アタシの前で言うなよ馬鹿。
《ずるいかな? え? 阿形がね、“お守り越しの我らより、結の方がすごい”って》
…ふん。
「そうなの?」
「知らない」
なんか話の流れが気に入らない。
そんで、どうせ撫でて機嫌取ろうとするんでしょ…
あっ、湊と話し始めた。
…撫でてよ!
―――
「ケイ、今日は塾? 帰りは遅い?」
ケイの部屋にある机の上。
小さなクッションの上にアタシの宿る石が置かれている。
鞄を背負うケイの顔を見上げながら、一緒に居れる短い朝の終わりを惜しんだ。
「たぶん。帰ったら夕飯の時間かなぁ。んじゃ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
すぐに玄関からも母親の彩に伝える「いってきます」の元気な声が聞こえた。
ケイより先に父親の直樹は仕事に行き、もう少ししたら彩も仕事に行く。
夜もつまらないけど、ここから夕方までの時間も長くてつまらない。
学校に石を連れて行けなんて言えない。
お守りですら、今はアタシの隣に置かれてるし。
――阿吽みたいに、景の普段から身につけているものに気を込めれば?――
いや無理。
そもそも気を練れないし、気を込めれないから。
それに気と一緒に力を込めてるとか言ってたしな。
よくよく考えれば、気で繋がってるだけで、その力で見聞きしてんのか。
…力ねぇ?
景のお守りに感じる気。
連休の最終日、ケイがこっちに帰る前に吽形が込めた気。
吽形と繋がっていないこのお守りに込められた気に意味があるのかは分からないけど、送り出す側からの気持ちを込めたお土産のようなものかな?
そう考えれば、以前触れた時とは違う気もする。
こんだけ色々と考え込んでも、数分も進んでない…
この場から動けないアタシは、今日も暇つ…修行のために周囲の建物を探り始めた。
アタシの居るこの建物は真っ先に練習に使わせてもらった。
建物自体が常時効率よく外気を取り込み、外に流す仕組みにしてあるとか。すごいな。
そこに上手く周囲の気を送るだけで邪気や穢れを薄めることができた。
問題は密集したとこに建った、換気もままならないようなとこ。
ここからちょっと離れたところにもあるんだけど…ちょっと届かない…もうちょいなんだけど
「いってきまーす」
彩だね。
いってらっしゃい。
―――
「――はっ!?」
あれ? なんでアタシ寝てんの?
なんか前にも似たようなことがあった気がする。
あれだ、力を使い過ぎて倒れたやつ。
阿形やケイにバレたら叱られるやつ。
…何してたっけ、修行の効果を感じて気を循環させる範囲を広げていって…
「ただいまー」
うわっ、そんな時間?
まぁいいか。
「ケイー! おかえりー!」




