その子、だれ?
《公勝くんに聞いたこと、伝え忘れてたよ…この前そっちに行ったとき、境内に凪くんが居たんだって》
いつものケイとミナトとの時間。
ケイがなんか驚いてる。
誰だよ凪って。
「凪、元気なの? 石段を登れてるの凄いんじゃ?」
あそこの石段、そんな長いか?
ケイもミナトも休憩なしで駆け上がるじゃない。
《なんか裏から来てたみたいで、阿吽の方には来なかったみたいなんだ》
「裏?」
裏?
《ん? そう。境内の裏にも建物とか畑とか、あと車で来れる道があるんだよ》
へー。
《そう! ケイくんが引っ越す前って、一緒に裏まで行ったことなかったよね。僕もこの前おばあちゃんと――》
「いや、それ今はいいや。湊、凪がわざわざ誰かに車で連れてきてもらったの、なんでだと思う?」
《えー? 車じゃないみたいだよ? 吽形も複数の気配とは言ってなかったし》
「裏から歩いて登ってきた? わざわざ? なんで?」
《いや、知らないし》
アタシの知らない人の話を長々としてんじゃないよ…
「…凪の話は、このへんにしとこ。結が知らない人の話されて拗ねてるみたいだし」
拗ねてないし!
《ごめん結。ここからが聞いてほしいところなんだ》
ミナトの表情が少し曇ったように見えた。
…うん、ちゃんと聞くよ。
《この前、新しい宮司さんが来たって話したよね?》
「ん。聞いた」
聞いた。
阿吽の喜んでる話を聞いて、アタシも頬が緩んでしまった。
《で、今日。月次祭っていう集まり?があったみたいなんだけど…》
けど?
《そこに、凪くんの親が来てたんじゃないかって、吽形が言うんだ…》
「は? 凪の親? だって…」
ミナトの顔が暗い。
「入院してるお母さんしか居ないんじゃなかったっけ…」




