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燻っていたもの

湊の友達であるケイが力を貸してくれることとなった。


今ならワシと吽形が同時に子供たちと動ける。

より安全に物事を進めることができるのじゃ。


本来であれば後回しにする予定じゃったが、燻るものの正体を探る好機と見て吽形へ提案した。


何か考えているようじゃったが、そうですね、と合意を得た。


ワシは湊のお守りへ、吽形はケイのお守りへと気と力を込めつつ、子供たちに伝えた。


「これより向かうのは、温泉宿のあった窪地じゃ。」


―――


子供たちはそれぞれの自転車で並走しながら、木々に囲まれた道を進んでおる。


道中、湊が経験したことをケイに伝えるようにお願いした。


その話の途中、疑問に思っていたことがあると、湊がワシに聞いてきた。


「賽銭泥棒を追い返した時って、なんであそこの神様や狛犬達がしなかったの?」


『神や我らが、直接追い返すことはなかろうなぁ』


「えっ?なんで?」


『もし、その賽銭泥棒には飢えた子供がおって、そのための盗みだったら?それをおぬしらは咎めるかのう?』


ケイは一瞬思い悩んだ後、湊の顔を覗くように目線を送った。


「…咎めないかも。」


ケイが頷く姿が見える。


『うむ。それを罪とするかは、とらえる人、立場、状況、時代で変わるじゃろう。人は、人が裁くのじゃ。』


「…だから、僕にどうするか聞いたんだね。」


『そうじゃな。』


「でもさ、祟りとかあるじゃん?アレって神様の力じゃないの?」


立ち漕ぎしながら、ワシへと顔を向けてケイが聞いてくる。


『ケイくん。危ないから前を向きましょうね。』


吽形に諭されて、前を向いたケイへと回答する。


『神ともなれば祟ることもできるのじゃろうが…我らにはできぬし、そこは詳しくわからぬのう。』


「…ふーん。神様もいろいろあるんだ。」


『ワシらは神といえど、主様や八百万の神とは違う。狛犬に宿った、まだ若い付喪神じゃよ。』


―――


人の気配はない建物の前で、子供達は自転車を降りた。


『山に囲まれ、流れ出る川も細く、気の流れが滞りそうな場所じゃが…』


しかし、気は澱まず巡っておる。


「ミナトは、なんか感じる?」


「…全然わかんない。ケイくんは?」


「うーーーん…ハハッ。なんもわかんない。」


目を閉じ、両手を空に広げたケイと湊が笑い合っておる。

湊もケイの真似をし始めおったが、ほんに仲が良い。


これまで仕事で赴いた土地に比べれば、我らが曖昧に感じるこの気配に対して、湊が何も感じないのはおかしくないじゃろう。


『…燻る気配を感じるのは、宿の中からですね。』


『じゃな。…いや、湊、ケイ、またんか!』


湊だけなら大人しく待っておったろうが、ケイと一緒になると警戒心が薄れておる。

いや、止めても進むケイを心配して、寄り添うておるのか。

性格が出るのう…


我らは子供たちへと気を流し、周囲を警戒しながら、宿の入り口を潜った。


――――――――


この世界の狛犬

・阿吽の本体は社の狛犬に宿ったままだが、気を通したお守り側に集中しすぎると、本体の動きが鈍くなる。(今は同時に同じようには動けない)

本作はフィクションです。

作中に描かれる神や出来事は、信仰や感じ方の一つの形を表現した創作です。

実在の宗教・信仰・人物とは関係なく、それらを否定・評価する意図はありません。

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