最終章 金の串 鉄の拳
AM10:45
EXPは、特に何事もなくキャンプの目前まで来ていた。
リアム「おぉーー超大型の首長のヤツらが見えてきましたよ。暫くこの景色も見納めですかね」
その言葉に、一同が窓の外へ目を向ける。
見慣れたはずの景色も、もうすぐ見納めになる。
長旅が終わる安堵と、冒険が終わる寂しさが入り交じる何とも言えない感情だった。
その時レオンが思い出した様に、何かを取り出した。
「着いたら報告とか忙しくなりそうですよね。腹減ったんで飯食っちゃいますね」
そう言うと、お土産に貰った肉の入った麻袋から葉に包まれた肉を取り出して食べ始めた。
アルベルト「あははは、流石だな食っとけ食っとけ焼いたヤツ持ってきたんだな。……ってお前……それっ」
串が2本刺さっている。
それもただの串じゃない。
18金製の50cm程もある串だ。
ルーシーに引き続き、また無意識でお宝を貰って帰って来てしまっている。
レオン「え?なんですか?ハインリヒ少佐も食べますか?まだありますよ」
……え
まだあるだと?
「5切れ持ってきたんで、食べる人居ればありますよ」
一同「………………。」
「あ!私も食べておこうかな!癖になる味よね〜」
ルーシーが、肉を受け取るとやはり金串が2本刺さっていた。
ヴィンス「ほんとに、お前らだけは……。まぁ仕方ない。次行く事があれば返そう」
ヴィクターが時計に目をやり、方位磁石や太陽の位置を確認した。
「間もなくだ。キャンプが見えてくるぞ」
ーーーキャンプでは。
見張りの兵士「戻ってきましたー!!!EXPです!!南方からこちらへ向かっています!!」
室内で待機していた、カサヴェテスとバトラーも飛び出す様に外へ出た。
「本当かー!?アイツらめ!戻って来たらただじゃおかん!!!」
キャンプ内は、騒然となり大慌てで着陸に備え始めた。
「滑走路の確認をしろ!!今から立ち入り禁止だ!障害物の有無も確認するんだー!」
空を見上げながら、バトラーが後ろからカサヴェテスの肩に手を置いた。
「アーサー。昨日の兵士が言っていた事は本当だったな。ヴィンス・ヴァンダインが居るチームは生還する」
カサヴェテス「あぁ、その様だな。しかし今回ばかりはダメかとも思ったがな。」
事実、最初のコンタクトでヴィンスが制止せずにアルベルトが発砲でもしていようものなら、たちまち怒りを買い全滅させられていただろう。
ブォーーーーーーーーーン……ババババババババババーー
「キャンプだー!見えてきました!!間もなく到着です!!」
皆それぞれに、色々な記憶を思い出しながら現実に戻ってきたと実感している。
そして、一様にどこか達成感に満ちて満足気な顔をしていた。
リアム「1度通過して、旋回します!!その後着陸します!皆身構えて!」
ブォーーーーーーーーーーン……
「EXPが帰って来たぞーー!無事だったんだー!」
キャンプ中から歓声が上がった。
ギュイーーーーーーーン……
機体は大きく旋回する。
リアム「キャンプの皆は気づいている様ですね! このまま滑走路に向かいます」
やはり着陸の時には、緊張が走る。
黎明期の機体には、無線もセンサーも制御装置も何も付いていない。
全て、リアムの勘だけが頼りだった。
ヴィンス「行けーー!リアム!!頼んだぞ!!」
「行くぞーーー!着陸だー!!」
ビョオォォーーーーーーーーー……
ガッ ガッ ガーーーーーーーーーーーーーーーーー……。
ふぅー。
無事着陸成功。
AM11:12
アイアンクラウンEXP及び乗組員一同、無事生還。
ワーーーーーーーーーーー!!……
割れんばかりの歓声が、辺りに鳴り響いた。
エクスプローラーズの面々も顔を見合せ、安堵の表情だ。
ルーシー「到ーーー着!!帰ってきたら疲れたね〜」
ドゥルルン……
バババ……ヒュンヒュン……。
リアムがEXPのエンジンを切った。「お疲れ様でした!!ありがとうございました!!」
機内で小さいながら、拍手が鳴り響いた。
機体から降りると、ヴィンスとアルベルトが一目散に走り出した。
ダダダ
ピタ。
2人は深々と頭を下げた。
そしてヴィンスが……
「ただいま戻りました!昨日の日没帰還予定が大幅に遅れてしまい、ご心配おかけして申し訳ありません!リアム・ドレイク以下 7名!全員無事です!」
カサヴェテスとバトラーの前に真っ先に報告に向かったのだ。
カサヴェテス「2人共頭を上げろ。お前達の事だ。向こう側で何か面白い物でも見つけて来たんだろう?話を聞かせてくれ」
頭を下げたまま、アルベルトが答えた。
「いえ!しかし我々は……」
バトラー「アルベルト、頭を上げろ」
「はっ」
アルベルトが、頭を上げるとバキィ!!!……
ヴィンスが、その様子を横目で見ながら恐る恐る顔上げると
バキィ!!!…
「ぐっ」
両大佐の鉄拳が2人の頬を打ち抜いた。
カサヴェテス「皆の手前もあるからな。それからお前達は今日から1ヶ月間謹慎だ。その間キャンプから離れろ。他のメンバーは不問だ。良いな?」
ヴィンス「はっ!ありがとうございます!」
一時、場は緊迫したかに見えたが4人は宿舎に入って行った。




