第10章 その5 温度差
ーーーその頃、本部では。
カサヴェテス 「日没してから2時間経つぞ!アイツはまだ戻らんのか!」
バトラー「向こう側で何かあったのか…この暗闇の中飛行するのは無理だろう」
カサヴェテスが苛立つのは無理もなかった。
人に価値を付けて比べるものではないのは解っている。
とは言え、メンバーが重要過ぎる。
リアム 今回のミッションの鍵を握る、機体の設計士兼 パイロット。
ヴィンス 言わずもがな、軍で一番頼れる部下。
エドワード 学生時代からの友人で、有能な科学者。
ガント 旧知の仲で、巨大建設会社の現場責任者。
レオン 次世代の軍を背負って立つと、期待している若者。
ルーシー お転婆で扱い難くはあるが、可愛げもあり有能。
アルベルト、 ヴィクター敵国から遠路はるばる助っ人に来てくれた兵士で、それぞれ少佐。
当然、感情が先に立つが損失が余りにも大きい者たちばかりなのだ、
「失礼します!」
1人の兵士が、ドアを叩いた。
カサヴェテス 「入れ。何か情報か?」
兵士「いえ、お食事をお持ちしました。」
カサヴェテスは、デスクに指を指して言う。「あぁ、すまんな。そこに置いておいてくれ」
兵士「あの…カサヴェテス大佐。よろしいでしょうか?」
カサヴェテス「どうした?なんでも言ってくれ」
兵士は、まっすぐな眼差しでカサヴェテスを見つめて話し始めた。
「向こうにはヴァンダイン少佐がいます。 少佐は我々に命令しました。全員生き残れと。あの人は、自分が出来ない事を命令する様な人じゃ、ありません」
カサヴェテス「そうだな。しかし今回は、あまりにも厳しいミッションを……」
遮る様に兵士は続けた。
「御無礼を承知で申し上げます。チームにヴィンス・ヴァンダインがいる。生きている根拠として充分ではありませんか?」
ハッとして、カサヴェテスは答えた。
「そうだな。充分だ。それ以上の根拠はない。ありがとうな」
兵士「はい!明日帰還したら、どやしてやってください。我々は言えないんで!失礼致しました!」
バトラー「アーサー。良い部下を持ったな。ヴィンスはもちろん、今の若いヤツも素晴らしい」
カサヴェテス「あぁ、俺が苛立ってる場合じゃないな。さっきの彼に救われたよ」
先程の兵士も、本当は不安でいっぱいだった。
普段、立場が違いすぎて話す事もないカサヴェテスに勇気を振り絞って発言することで自らを奮い立たせたのだ。
ーーーー再び岩山。
EXPから、ルーシーが降りてきた。
「この子達ドラゴノイドの子供よね?上から見てたけど、めちゃくちゃ強いね〜」
ヴィンス「あぁ、流石ドラゴノイドと言わざるを得ない。スピードもタフさも俺達より上だな」
ルーシー
「でもなーー。動きが直線的で単純ね。勿体ない」
ゲル「なんだと!おばさ」
ギンッ!!
「おねえさん」
ルーシー「少し工夫したら君達強くなるね。おねえさんと勝負しようか?」
ゲル「勝負?どうやって?」
ルーシー「そうね…流石にヴィンス達みたいに受けて立つ事は出来ないから……背中タッチしたら勝ち。どう?」
ゲル「良いけど、そんなの簡単ただよ。触れば良いんでしょ?」
ルーシー「そうそう。背中触ったら勝ち、じゃあやろう」
トン トン トン……
軽く跳躍をして、タイミングを計るゲル。
ダッッ……!
ルーシーの左側を、凄いスピードで走り抜けるゲル。
アルベルト「おぉ〜やっぱり速えなー」
ルーシーは、その場から微動だにしない。
ゲルは、直ぐさまV字にターンをして前方にルーシーの背中を捉えた。
ゲル(もらったー!!)
くるん。
ルーシー「はいタッチーー」
ポンッ
ルーシーは、回転しながらゲルをやり過ごし過ぎたところの背中を難無くタッチした。
ゲル「え!?何今の!いきなり空ぶった感じした!」
ルーシー「うん、いきなり空ぶらせたからね」
ジャン「俺もやる!」
ルーシー「いいよーおいで〜」
タダッ
くるん
ルーシー「はいタッチ〜〜」
ジャン「くっ、どうして」
ルーシー「まず直線的なのは、そうなんだけどね?君達足音が大きいのよ。あんだけデカいゼグとかバムより大きいね」
リヨ「あははは、そうね。ルーシーさすが」
ヴィンスは2人の頭をポンと触り言った。
「ここで生きていれば勝手に身につくだろ、今度会ったら俺たちの手に負えなくなってるだろうな」
ゲル「うん!!次は絶対負けないからな!また遊びに来てよ」
ジャン「な!俺達はドライムだ!驚かせてやる」
ヴィンス「あはは、そうだな。次来たら、また勝負だな」
爪使用禁止と言うルールでは彼らが圧倒出来た。
しかし子供達が狩るつもりで攻撃していたら、結果が変わっていた事をリヨは言わないでいた。




