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第9章その9 飛行と飛行

ヴィンス「さて!泊まると言っては見たもののなんの準備もないな。どう過ごすか」


バム「ここで過ごすのは、構わんぞ。ここなら外敵も上がって来ないし虫も居ない」


ヴィンス「あぁ、助かる。降りたら上がれなくなるメンバーも居るんでな。」


リヨが、割って入る様に質問する。

「ねぇ!あの乗り物って動かせるの!?」

ヴィンス「ちょっと待ってくれ、うちのパイロットに聞く。 リアム!こっちへ来てくれ」

リアム 「聞こえてましたよ!正直言って飛ばすのは難しいです。エンジンをかけてプロペラ回すくらいなら出来ますよ」


「……あ。」

ヴィンス「どうした?リアム」

リアム「これ機体を180°反対に向ける必要があるんですけど、その機能が無いです……」


ヴィンス「何!?…まぁ確かにな。このままの方向じゃすぐに崖下にダイブだ。皆で動かしたら回るか?」

リアム「無理だと思います。力が足りたとしても車輪の軸に負担がかかって破損しそうです」

バム「要は支点を小さくして、車輪がねじれないようにすれば良いんだな?」


リアム「そうですけど、タイヤが4本あるので無理です」


バム「ゼグ!石板を1枚持ってこい!」

ゼグ「あぁ、平らな奴が良さそうだな。持ってくる」


EXPの機体の周りを、バムが見ながら歩いている。

「ゼグ、俺がこちらにぶら下がって傾けるから、その石板を車輪の下に置いてくれ」


ゼグ「OK。いつでも良いぞ」


「よしっ行くぞ」

ギィィィィィィ


バムが翼にぶら下がると、機体はゆっくり傾いた。

浮いた車輪にゼグがすかさず、石板を滑り込ませた。


バム「よし。リアム、機体にロープをかけて引いても壊れない所を教えてくれ。中心から遠い所でだ」


リアム「尾翼の下にフックがあるのでそこなら大丈夫です!」


バム「俺とゼグで機体を傾ける。片側が浮いたら皆でロープを引いて回してくれ」


凄く感心した様子で、エドワードが頷く。

「凄いアイデアだ。理論上は可能。しかし我々はバムとゼグと言うカードを持ってないから、思いついても却下になるがな」


リアムがフックにロープをセットするとバムは翼、身体の大きいぜグは前方に立った。


バム「では行くぞ。せーの!」

そう言うと、バムとぜグは同時に跳躍し機体にぶら下がった。

すると、機体は右前に傾き石板の上に乗っている車輪が支点になった。


リアム「今だ!!」

皆でロープを引くといとも簡単にヤジロベーの様に機体は回り、反転する事が出来た。


リアム「良かった!バムさんありがとうございます!」


ヴィンス「リアム、これバム達の協力が無かったらどうするつもりだったんだよ?」


リアムが照れくさそうに言った。

「ですよね〜危なかったです」

どの場面でも、一手足りないだけでクリア出来ない難題を突破し続ける彼らであった。


リヨ「リアム!プロペラ回すって、この前のヤツのこと!?」

リアム「そうそう!これを回すと風が起きてその力で前身するんだよ」

リヨ「見たい」

リアム「OK、今エンジンかけるね」

リアムは、コックピットに乗り込むとEXPのエンジンをかけた。

ドゥルン! ドドドドドドドド

バババババハバババー


エンジンとプロペラの風切る音が、周囲に鳴り響く。


リヨ「すげーー!これでこんなデカいやつが飛ぶんだね!」

バム「この匂い。石油だな?」

ゼグ「あぁ、その様だな。こんな事に使えるのか」

観察眼と野生の嗅覚を合わせ持つ彼らならではの会話だ。


リアム「よし!EXP絶好調!」

ドゥルン

エンジンを切ると、プロペラもゆっくりと止まった。


バム「そろそろ俺たちは行くぞ。狩りに行かねばならん。ここは好きに使ってくれ」


リヨ「えーー?もう少し話したいな〜」


バム「あぁ、リヨ今日だけは良いぞ。友達が出来たみたいだしな。彼女とゆっくりしておけ」

リヨ「え!?良いの?やった!!」

バム「ヴィンス。その代わりレオンを貸してくれ。狩りを手伝って貰う」


ヴィンス「え……あぁ、良いんじゃないか?なぁ?レオン?」

レオンは両こぶしを握りしめて、震えながら答えた。

「もちろん!!是非、連れて行って下さい!」


当然の事ながら、如何にレオンであってもバム達からしてみれば、むしろ足手まとい。

バムはレオンに何かを感じ取り、気に入った故の発言だった。


アルベルト「なぁ、ヴィンス。レオンは今回のミッションで更に強くなるな」


ヴィンスは、笑いながら答えた。

「あぁ、なんか一人でずっと暴れ回ってるな」

2人共、現役バリバリの兵士だが立場と言うものがあり、全体を見渡す癖が付いており、前だけ見ているレオンを若き日の自身に重ねて、少し羨ましくもあった。


バム「では、行ってくる。明るいうちには戻ってくるな」


ピィーーーーーーーー……

ホイッスル音を鳴らすと、

先程と同じ様に遠くから五頭の翼竜が集まって来た。


バムが何やら、グンに指示を出すとグンだけ先に飛び立って行った。


バム「レオン、コイツの脚に掴まって飛ぶんだ。行けるな?3回ほど羽ばたくとコイツが浮くから、脚を掴めば勝手に飛んで行く」


レオン「わ、わかりました!行けます」

バムは、ルーシーの時とは違って自分で掴まる以外の選択肢を奪う言い方で聞いた。


バム「もう少ししたら、グンから合図が来る。そうしたら出発だ。俺、レオン、ゼグの順番で飛び立つ」


ヴィンス「バム。レオンをよろしく頼む。」


バム「あぁ、君達の夕飯も持ってきてやるからな」


ゴォーーーーーーーーーン…


少しすると鐘の様な音が聞こえてきた。


バム「よし。いくぞ」

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