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第9章 その6 竜の骨 竜の肉

ーーー15分程前

レオンの興味は、少々別の方向を向いていた。

バムが翼竜で飛び立った後に1人残ったドラゴノイド。

小柄で少年とも思える様な顔立ちの男である。


レオン 「レオン・フォックスだ。君達の仲間には踊らかされっぱなしだ。そして君にも同じ様な気配を感じる」


「あははは、俺なんかまだまだ。あの人達には勝てないよ。名前はグンだよ、バムの下で見習い中なんだ」


顔こそは、どこかあどけなく普通だが、身体付きや傷痕や鋭い眼光。

確かに、ここで生きてきたと証明するのに充分な物だった。

レオン 「グン、君はさっきリヨがやっていた技は出来るのか??」

グン 「アースバウンドの事?それはもちろん出来るよ。子供の頃に皆マスターする」


レオン 「グン、それを俺に教えてくれないか?」


グンが両手を広げて右脚を、スっと後ろに下げた。

「良いよ。思い切り来てみて!」

レオンは、目線を逸らさぬままに深く呼吸をして猛烈なダッシュでタックルをする。


ドンッ!……


んぐ…

リヨの時と同様に、まるで大木に突っ込んだかの様な不動。

グン 「うん、このまま押そうとし続けてみて」

レオン「うおぉぉーーー」


グン「その力を、そのまま上に。俺を持ち上げようとしてみて」


フワッ……


グンが3m程舞い上がった。

勢い余ってレオンは、ゴロゴロと転倒した。


グン「うんうん、レオン格闘センス凄いね。バウンドマスターしたらアッパーで相手が今くらい飛ぶよ」


息を切らせながら、レオンが尋ねた。

「ハァハァ…どうなってる?それに、さっきのと関係あるのか?」

グン 「うん、今、君は地面を使って俺を上げたんだよ。受け止める時も同じ理屈さ。ちょっと、こっち来て」


レオンが歩み寄ると、グンはレオンの体勢を下げさせて、脚を後ろに下げさせた。


グン「形はこんな感じ。正面からの衝撃を後ろの脚で支えるんだ」


グンは、前からレオンの胸を押す。

グン「そうそう、硬いな。身体の芯が力を受け止めてるの解るかい?」


レオン「あ、あぁ、感じた事のない安定感だ」


グンはガントに手招きをした。

「そこの大きい人こっちへ来てレオンの事前から押してみて」

ガント 「わかった。レオンを後ろに下げれば良いんだな?」

ガントは192cm140kg

レオンは168cm70kg

ウエイトで言うと半分、大人と子供くらいの差がある。


ガント 「いくぞ。ふんっ!」

レオン「お、おぉ……これか!」

全く動かない。

グンの教え方が良いのは、もちろんだがレオンの並外れた身体能力が身体に理解させた。

グン「はい、ストップ。そうしたら2mくらい助走つけて突っ込んでみて」

ガント 「あぁ。行くぞ」

ダダダッ

ドンッ……

またも結果は同じ。微動だにしない。

うぐっ…

しかしレオンが、苦痛の表情を浮かべた。

グン「あぁ、やっぱり。この技はぶつかられた場所と体幹に、衝撃がモロに来るからね。あまりに強い衝撃を受け止めると背骨とか脚の骨が折れるよ」

レオン 「な、なるほどな。ドラゴノイドの骨格があって成立する技なのか。しかし参考になった攻め手や物を動かすのには使える。グンありがとう」


バッサァ……

バサァ

バムが戻って来て、リアム達とやり取りをした後に、こちらの様子に気付いて寄ってきた。

「レオン、どうだ?アースバウンド教わったんだな」

レオン 「え?今戻って来たんでは?」

バム 「上空から見ていたよ。良いセンスをしているが、骨格が足りないな」


子供の頃から、骨太で頑丈な身体と自覚していたレオンだったが圧倒的なドラゴノイドとの差を感じて頷いた。


レオン「はい。この環境で生き抜いているだけあります。あははは、食べ物にも差がありそうです」


少し考えて、バムが答えた。

「北にはDod(恐竜)がいないんだよな?我々の重要な栄養は彼らから摂取している。食うか??」


レオン「え……あれを……」


「食います!!是非!」


ヴィンスが笑いながら言う。「流石だなレオン。そんな事言われたら興味の方が勝つわな」

バム 「グン。1回帰ってDodの肉を持ってきてやれ」

グン「了解!20kgくらいで良い?」

バム「あぁ焼いて食うから食器も頼む」

それを聞くと、翼竜に乗ってグンは下に降りて行った。

バム「じゃあ、火をおこすから炉の方に来てくれ」


ヴィンスがポケットから、マッチを渡そうとして止めた。

彼らの火起こしを見てみたいと思った為だ。

あらかじめ炉には、枯れ草や木材が準備されている。


バムは金属片の様な物を炉にある、大きな金属片にかするように勢い良く振り抜いた。


ボッ

ボォォォォォ


一瞬で点火した。


エドワード 「なんだ?火花を散らしたくらいで、如何に彼の力が強いとは言え火が点くとは思えん」

バム 「油だ。近くに油田があるんでな。火を起こす時に利用している」


ザッ…

タタタタ

「ただいま!」

グンが肉を担いで戻って来た。

早っ 速っ!

バム 「串焼きにしよう。グン適当な大きさに切ってくれ」


衛生面は、さておき平らに加工してある石の台で手馴れた様子で切り始める。

グン 「これくらいで良いかな?」

1切れ当たり1kgくらいは、あるだろうか。特大のステーキにバムが串を刺して焼き始めた。

アルベルト「ちょ……待ってくれ。その串まさか金か!?」

バム 「あぁ、柔らか過ぎるから純金ではないがな。錆びにくくて使いやすいんだ」


18金(と思われる)50cm程もある串が乱雑に20本程置かれている。

ヴィンス「これもやはり、この辺で採掘出来るのか?」


バムが、肉に塩をふりかけながら言う。

「そうだ。用途によっては、鉄より便利なんでな」


ヴィクター 「それは塩ですか?それもやはりこの辺りで?」

バム「あぁ、この辺は資源が豊富なんだ。だから俺達はここで暮らしてる」


ヴィクターがメモを取り始める。

World's End Line より600km地点。 金などの鉱物が豊富、。

油田もあり、岩塩、又は塩湖があり……


その様子を見ていたアルベルトが、ヴィクターが書いていたメモを破って丸めて、火の中に入れた。


ヴィクター「な、何をするんだ!?」

アルベルトの目を見ると、無言で炎を見つめている。


ヴィクター(そうか。そうだよな……)

「アルベルト、書き間違えたの破ってくれて、ありがとう」

アルベルトは、フッと笑った。

「あぁ、ヴィクターの報告は正確じゃなきゃならないからな!気をつけろよ」


彼らは自国に帰った時の自分達の言葉の重さを理解しているのだった。

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