第9章 その2 進化の方向の差
バムが興味深そうに質問した。 「エクスプローラーズは、どのようにして結成されたんだ?」
エドワードが答える。 「『World's End Line』って言葉は知っているか?」
バム 「あぁ、赤道の事だな。語源も大体察しがつく」
「知っての通り、人間は昔からこっちに興味があってな。レールを作って、こちらへ向かっていたんだ。森林を切り開いたら、恐竜がこっちに向かって来てしまった。それで君の思う語源の通りだと気付いたが、さらに奥をコイツ(EXP)で探索していたら、君達を発見した。その後、それぞれの得意分野のバランスを見て結成されたんだ」
バム 「なるほどな。前回の時は、この3人はいなかったもんな」
ヴィンス 「え? そんなとこまで見えてたのか? どうやったんだ?」
バム 「あぁ、これはただの視力だ。もう少し言うと、目で得た情報を記憶するのは俺達は得意でな」
ヴィクターが眼鏡を押し上げる。
「進化の過程というか、動機が違い過ぎるんだ。ここで生き抜く力を身に付ける進化。それに間違いはないと思う。我々人間は、自分でやることを諦めたり、便利さを道具に求めた。だがドラゴノイドは、その要求を自身に求め続けて進化しているから、人間とはモノが違い過ぎるんだ」
エドワード 「そんなとこだな。その上に道具や言語まで使うんだ。デビルを最初に見た時よりも驚かされているよ」
バム 「それで、エクスプローラーズ。満足か? 何か知りたい事はあるのか?」
ここで、ガントが初めて口を開いた。
「アンタ達の技術を見たい。この環境下で、あのロープウェイやバーベキュー炉……。これらはそれなりの道具を利用しているよな?」
バム 「あぁ、それは色々あるが、こんなモノ(EXP)に乗ってきた君達に誇れるような技術はないぞ」
ガント 「いや、この環境から考えて、相当な技術と知恵がないと作れないんだ。俺は建築や土木に長年携わっているが、ここにある物で金属の物を作るのは困難だ」
バム 「金属に関してな採掘出来る所があるんだ。最初の切っ掛けは火口から噴き出した鉄がブーメランの様な形で固まってそれを道具や武器にしたとされている」
※古代ドラゴノイドが火口に火種を取りに行った時に、たまたま落ちていた鉄製の天然ブーメランを何気なくブン投げたら何回投げても戻ってくる為に面白がって持ち帰り、その後利用価値を見出した。 元々は、おもちゃの様な感覚だったのだった。
ガント ちょっと待ってくれ! 加工で採掘だと!? 命がいくつあっても足りないぞ。 バム ん?どうしてだ?
ガント 「噴火に巻き込まれたら君達と言えどただで済まないだろう?」
バム 「あぁ、巻き込まれたらな。でもわかるんだ。大地の震えや気温や湿度の変化で。ドライムが巻き込まれた話など聞いた事ない。それに採掘する場所は、火口以外にもあるからな」
ガント 「あんたらの技術は、そんな天然だけで説明出来る物じゃないよな?加工はどうしてる」 バム 「石で炉を作り閉じ込めた火に送風して温度を上げて鉄を熱している。君達は違うのか?」 ガント 「同じだ。しかしだな。人間は色々な設備を様々な地域で更に分担してやるんだ。あんたらは、この環境で全て完結している」
バム 「分担か。ある程度はあるけど一通り全員が出来る様にしている。誰がいつ死ぬかわからんからな。俺達は簡単には死なないがな」
ルーシーが、ハッとして質問した。 「って事は、リヨも鉄の加工とか出来るの?女性でしょ?」
リヨ 「もちろんよ!これも私が作ったんだ。」 と、言って見せたナイフは人間が専門店に行ってプロが作った物として特に何も考えずに選んでいた物のクオリティを感じさせるほどの美しさだった。
ガント 「見せて欲しいな。あんたらの技術を」 と言って、自身が付けている懐中時計を手渡した。
バム 「これは?数字が書いてあるな」 ガント 「懐中時計と言ってな、俺のお気に入りだ。12時間で1周回り、2周回ったら1日だ。お礼と言えるかわからんが受け取ってくれ」 リヨが駆け寄って来て、手に取って言う。 「わぁ、これわたし貰う!」
バムは、フッと笑い 「だそうだ。じゃあ、何か見せようか。向こうの岩山に加工している場所があるロープウェイで行こう。」
ガント 「え……」
地上50mの岩山間を手持ちのロープウェイで、渡る。 しかも、ガントの巨漢で。
満場一致。 やめとけ
ヴィンス 君達は、いつもこの上で暮らしているのか? 色々不便だろう?
バム 「いや、ここはいくつかある拠点の一つだ。休む時は上に居ることが多いな。」
エドワード 「この辺りを選んでいる理由がありそうだな。水か?」
バム 「そうだ。大陸を横断している濁った川があるんだが、所々美しい川がある。ここを降りた所にあるのが我々が利用している川だ。」
ルーシー 「あーーー!もうダメだ!!全部見たい!行こうよ!!リヨ!連れてって!」
リヨ 「あ、うん。行こう!ルーシー私の家連れてってあげるよ」 やれやれと言った様子でバムが「ゼグ、守ってやれ、もしもの時の為に馬をちかくまで呼んでおくんだ。」
ゼグ 「あぁわかったよ。行こうかお嬢さん」
いつの世も、女には勝てない男達であった。




