第9章その3 ドライムの教育
リヨが、人差し指と親指を輪っかにして咥えた。
ピィィィィーーーーーーーーーーーーーー……
遠くまで突き抜けるようなホイッスル音。
ィィィ……
ルーシー 「すげー音!なんの合図?」
リヨ 「うん、ちょっと待ってて。迎えを呼んだから」
エクスプローラーズ一同、呆気に取られ少し待っていると……
バッサーーバサーと羽音を立てて五頭の翼竜が集まった来た。
ヴィンスが流石に驚き、冷や汗を垂らしながら聞く。
「これ、君が呼んだのか?」
リヨ「うん、そうだよ!降りる時に呼ぶんだ。ルーシーアイツの脚に掴まれる??」
ルーシー「んーーー。怖い」
リヨ「わかった、じゃあ私の背中に乗って」
すかさず、ルーシーが飛び乗ると同じ様なサイズのはずに子供の頃に父の背中に乗ったかの様な安定感と安心感があった。
リヨ「じゃあ、行ってくる!」
あっという間に、ゼグと3人で降りて行ってしまったが、ゼグを担当した翼竜が、ちょっと嫌そうだったのを皆見逃さなかった。
アルベルト 「ここの乗り降りにアイツらを使うのか?」
バム「いや、見ての通り羽は大きいが身体は小さいのでな。上に上がることは出来ないんだ。」
ーーー
ルーシー 「うわぁーー!すげー!すげぇけど怖えーー!」
リヨ 「あはは、あの乗り物より怖いだろうね。でもすぐ着くから」
数百メートル程離れた地点に着地すると、そこには美しく穏やかな川と大木が立ち並ぶ所だった。
ルーシー「綺麗な所だね〜 この辺にリヨの家があるの?」
リヨが大木を指を指して言った「うん、これ」
太く真っ直ぐで、高い木の上を見上げると上の方にだけ複雑に生える枝を利用して建物の様な物がある。
ルーシー「ここを登るのかぁ」
ルーシーの身体能力を持ってすれば登るのは可能であったが1歩間違えると転落してしまう、ただの真っ直ぐな大木だ。
ルーシーが、少し気合いを入れて登ろうとすると…
ゼグ 「待て。リヨ、上の滑車にロープを掛けてやれ。俺が上げる」
リヨ 「あ、わかった」
高さ20m程ある木を瞬く間に、リヨは上がると上からロープを自らも降りながら垂らして、その先には恐竜の革製のハーネスの様な物まで付いている。
ルーシー 「これは?子供とか上げる時に使うの?」
リヨ 「それで使うこともあるけど食料とか物を上げる時に使うんだ。こっち来て」
手慣れた手つきで、ルーシーをガッチリ留める。
リヨ 「よし、行こう!ゼグお願い」
ゼグ 「OK」
グイ…
ギュォーーーーーン
ルーシー「ちょ…待っ 速っ ぎゃーーーーーー!」
リヨはルーシーの上のロープを片手で掴み、ちゃっかり楽して上がってる。
リヨ「あははは、ごめんね!もう着いたよ」
これは、ゼグが怪力な事もあるが普段の生活の中で地上でゆっくり動作をしないのが彼らの本能であり知恵だった。
生活。
生きる活動。
人間達とドラゴノイドとの、そこの差が、こんな所でも現れるのだ。
ルーシー「お邪魔しまーす。うわっ広い」
リヨ 「うん、私が7歳の時に1年かけて作ったんだ。」
ルーシー「え?7歳!?ドラゴノイドって7歳で大人なの?」
リヨが自分の腹の高さで手を下に向けて話した。
「ぜーーんぜん、子供だよ。ドライムは子供の建てた家に住むんだ。親が建てた家は、おじいちゃんとおばあちゃんが住んでる」
彼らは、大木の上に木を建てる事で一通りの鍛錬や技術や知識を得ると考えて7歳になると、一切手伝わずに家を建てさせる習慣があるのだ。
リヨ 「ルーシー!こっち来て!これ!」
建物の端に連れられ、そこから下を眺めると先程の美しい川や岩山、そして永遠とも思える様なジャングルが広がっている。
ルーシー 「さっきの川だ!岩山も!素敵だね!」
リヨ 「うん!川を上から見たくてこの木を選んだからね。ここが私の部屋」
ルーシーが部屋に乱雑に置かれている石に気付いて指を指した。
「リヨ、あれは何??」
リヨ 「あー、あれは私が子供の頃から集めてきた石なんだ。綺麗でしょー」
ルーシー 「うん、綺麗だねー素敵〜」
そこに転がるのは、透明や赤や青の美しく輝く石だった。
リヨ 「好きなの1個あげるよ!」
ルーシー「え?良いの?じゃあこれ。ありがとう!」
「うん、それで良いの?持って帰って」と、にっこり笑った。
……が
ルーシーが受け取ったのは、ゴルフボール程のサイズのダイヤモンドだった。
ものの価値を知らないと言うのは、恐ろしい話である……




