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第6章 その4 カリスマ×カリスマ

カサヴェテスが腕を組み、目の前にそびえる巨大な機体から視線を外さずに尋ねた。

「ところでリアム、こいつはいつ完成するんだ?」

リアムは胸を張り、迷いのない声で即答した。

「もう飛べます!テストは行っていませんが完成してます。」

その場に居た全員が、話の急展開に着いていくのがやっとの状態になる。

当然ではある。リアムがしているのは話の急展開ではなく、時代の急展開なのだから。

(※現代人の私達から見れば、宇宙旅行へ明日行けるよと言われるようなものだろうか。すでに小型機を完成させ、実戦でその性能を証明している彼だからこそ、この巨大機に対する自信も本物だった。)

その静寂を破るように、エドワードが口を開く。

「しかし、問題もある。日照時間だ。この辺の日照時間は1年を通して12時間程だ。日の出が始まって少しでも明るくなったらフライトしても13時間使えるかどうかだ」

リアムが険しい顔でうなずく。

「この辺りでもこの暗闇です。基地がある為その灯りで少しは見えますが、このままジャングルが続く様なら日没後はライトでいくら照らしても巨大な闇です」

バトラーが鋭い視線を向けた。

「最高速度、及び巡航速度は?」

エドワードが即座に答える。

「180km/h。……巡航は130km/hだ」

それを聞いたヴィクター少佐は、手帳を開く暇すら惜しいとばかりに一瞬で視線を宙に泳がせ、唇を微かに動かして瞬時に暗算を叩き出した。

「巡航130km/hに日照時間の最大13時間を掛け合わせると……片道最大でも845km、往復の必要距離2000kmに到底及びませんね。風の抵抗や現地の探索時間を考慮すれば、巡航速度を上げるか、あるいは片道の限界地点を850km圏内に厳しく絞る必要があります」

「そうだ。巡航速度×12時間に+αして、その半分だからな」

ヴィクターの完璧すぎる即座の暗算に、一同は改めてその頭脳の鋭さに唸らされた。

具体的な数字と対策が定まったところで、リアムは隣にいたヴィクターに向き直った。

「ヴィクターさん、一緒に乗ってもらってなるべく正確な飛行距離、現在地、そしてここに戻るまでのナビゲーションお願いできますか?」

ヴィクターは、くいっとメガネを直してフッと笑った。

「良いでしょう」

彼は持っていた道具の数々を机の上にズラリと並べ、太陽の位置などから方向や現在地を特定する方法を熱っぽく説明し始める。ナビゲーションの目処が立ったところで、リアムは今回の搭乗メンバーの名前を挙げた。

「乗り込んで貰うのが、カサヴェテス大佐、バトラー大佐、ヴァンダイン少佐、ヴィクター少佐、ガント工事長(※2人分の席)、それとルーシー……っと、ルーシーは乗せないと後で絶対にめんどくさい事になるから入れて、これで良いですか?」

一同が納得のうなずきを見せたその時、ヴィンスが静かに手を挙げた。

「いや、俺はレオンと残る」

リアムが驚いて目を丸くする。

「え……でも」

ヴィンスは真っ直ぐな目で首を横に振った。

「上役が、そっくり居なくなる訳には行かないだろ。俺は部隊のトップなんでな。俺が残れば、アイツらから不満や疑問が残ることは無くなるから」

カサヴェテスが探るような目を向ける。

「良いのか?」

ヴィンスは力強く頷いた。

「もちろんです。納得させるには、それなりの『顔』が要ります。そして俺は、その『顔』になれると思っています」

バトラーとカサヴェテスがアイコンタクトを取り、やはりコイツは凄いやつだと、深くうんうんとうなずいた。

決意を固めたヴィンスが、正面のテントのドアを開けた。

夜の闇が広がる外へ向けて、何処までも響き渡るような声で叫ぶ。

「みんな聞いてくれ!! 外の警護をしてる者たちは、そのまま聞いてくれ!!」

室内と屋外を交互に向きながら、ヴィンスは胸を張った。

「バトラー!カサヴェテス!両大佐以下8名!World's End Lineの更なる奥へ、調査に行かれる事になった!!

ここの指揮は、このヴィンス・ヴァンダインが取らせてもらう!!

俺たちが受けた命令は、ただ1つ!!全員生き残る事だ!

以上!!」

"Yes, sir――!!!"

テント全体が揺れる程の団結の返事が夜のキャンプ地に響き渡った。

そして、「敵兵」も含めて全ての者が、この人なら着いて行っても大丈夫だとヴィンスをリーダーと改めて認めた。

ヴィクターは、ヴィンスの圧倒的な背中に目を奪われ、手に持っていた手帳を落とした事にも気付いていない。

(……か、かっこいい……)

ヴィンスは、何事も無かったように涼しい顔で戻って来て、リアムの肩をポンと叩いた。

「ホントは俺も行きたいんだぞ。……まあ, 俺が行けそうな時は頼むぞ」と、悪戯っぽく笑う。

その頼もしい姿を見上げて、リアムは――

「はい!ありがとうございます!!」

と、何に対するものとも解らない熱い涙が、あふれ出て止まらなかった。


そこに、最強のKYが近づいてきた。


ねぇ、ヴィンス!以下8名って誰の事??

なに?調査って?


ルーシーだ。


事の経緯を説明すると、ルーシーは

あー!あの後ろのでっかいヤツもう飛べるの!?


いつも好き勝手にウロウロしてるルーシーは、置き場で制作している事を知っていた。


以下8名に入ってる事で、納得して、また何かをポケットから出して食べていた。

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