第四話 旧家の依頼(堕ちた神を撃て)――決着……か?
美しかった庭園の地面を削りその下の大地をも穿ちながら、光の刃は豆腐を切るかのようにドームを斜めに切断した。切断面がずれドームの上半分がゆっくりと滑り落ちていく。
「やったか⁉」
「翔太、それフラグ!」
カナリアの警告が飛ぶ。
その通り切断面から膨大な負の念が噴き出し、視界を覆い尽くした。黒い霧のような負の念のカーテンが周囲を包み込みディザスターの姿が完全に隠れてしまう。
『むっ、来るぞ!』
ディストレイの警告と同時に負の念のカーテンを破って甲冑サムライが跳躍した。その手に握られた日本刀には、周囲の負の念が吸い寄せられ極限まで圧縮された黒い光が刃を包み込んでいる。死の気配がコクピットの中にまで届いてくるようだった。
「ふはは! 今度はこちらの番だ! 一刀両断にしてくれる! どりゃああ!」
甲冑サムライが上段から渾身の一撃を振り下ろす。
アトランリアで受け止められるかどうか、ギリギリの威力だ。
「ほら、私の言った通りじゃん。絶対に『やったか!』なんてフラグを立てちゃダメなんだってば」
カナリアの小さな手が私の頭を軽く叩く。
その小言に苦笑いしながらも、私は瞬時に次の手を判断した。
「ディストレイ、『永久の氷』であれを砕く」
『……なるほど。いい考えだ』
ディストレイは左足を軸にしてその場で一回転した。そして、迫りくる日本刀目掛けて上段回し蹴りを放つ。
「その足ごと真っ二つにしてやる!」
甲冑サムライの日本刀とディストレイの青く輝く蹴りが、空中で激突したその刹那。
パキィィン!
甲高い音とともに、日本刀が根元から粉々に砕け散った。
「バ、バカな……こんな……!」
ディザスターの声が驚愕に震える。
「これが本来の『永久の氷』の使い方だ」
私は砲撃モードのアトランリアを甲冑サムライの胴体に向けながら、静かに言った。
「触れた部分を一瞬で凍結させる『永久の氷』。これは、使用者の衝撃に対しては脆いという特性がある。つまり私の足に触れた瞬間に刀が凍り、その衝撃で凍った部分が砕かれる。触れたが最後、絶対不可避の一撃必殺として機能するんだ」
甲冑サムライは武器を失い、がら空きの胴体を晒していた。
アトランリアにチャージされた光が最高潮に達したその時だった。
ドゴォン!!
蔵の方角から轟音が響き、蔵の扉を突き破って無数の細長い触手が飛び出した。それは真っ黒に濁り表面には無数の人面が浮かび上がっている。触手は一直線に甲冑サムライへと伸びると、その胴体を何本も貫いた。
「な……⁉」




