↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
90/158

第四話 旧家の依頼(堕ちた神を撃て)――目的

「ディザスター……また面倒な奴が出てきたな」

「それより上野隆一はどうした! 死んだのか!」

 柿谷が震える声で叫ぶ。彼の指は無意識にショルダーバッグの中のマッチを探っている。

「心配するな。あの男は十年前に死んでいる。俺はその皮を借りていただけに過ぎない」

「十年前だと……?」

 私の脳裏に、ご神木の言葉が蘇る。

 十年前に土地神が上野家との契約を破棄した。

 その時期と、ディザスターが上野隆一の皮を被った時期が重なる。

「そうだ。濃厚な負の念に誘われ、この土地に来たのが十年前。当初は、その蔵の下にいる存在ごと喰らってやろうと思っていた」

 ディザスターの濁った瞳が、蔵の方角に向けられる。

「しかし、さすがは落ちていても神。我の力では不可能だと悟った。ならばと、あの存在を開放すれば、濃厚な負の念が集められると気づいたのだ」

「それで……土地神と取引をしたのか」

「察しがいいな。私はあの神と取引をして、この土地からの解放を約束した。その代わりに、外の世界へ出る手助けをするとな」

 ディザスターの口元が、三日月のように歪む。

「そして今日、その約束が果たされる。あと数時間もすれば、あのご神木は枯れる。封印が解かれ、邪神が解き放たれる。その時、この地はかつてない恐怖に包まれるだろう」

 私は拳を握りしめた。

「お前の目的は何だ。ただ負の念を集めたいだけなのか」

「それもある。負の念こそ力の源。どんなことをしても欲しいのは至極当然のことだ」

 ディザスターは両手を広げ、まるで舞台の主演俳優のように語り始めた。

「それと、落ちた神の力を見定めること。果たしてグリード様の脅威となり得るかどうか――それがこの十年間、私がこの地に留まっていた理由の一つだった。だがね」

 ディザスターの濁った瞳が、真っ直ぐに私を見据えた。

 その視線だけで、肌が粟立つような悪寒が走る。

「ここでもう一つ、目的が増えた」

「……なんだ」

「君と戦うことだ」

 私は思わず息を呑んだ。

「何だと……?」

「正確には、ディストレイに乗った君と、だがね」

 ディザスターはゆっくりと私に向かって歩み寄ってくる。その足音は、まるで心臓を直接握られているかのような不快な重さがあった。

「先ほども言ったが、ディストレイは幾度となく我らの前に立ちふさがった。その度に俺は戦った。あの時の高揚感は、今でも忘れることはない」

 ディザスターの声が熱を帯びていく。

 それは、長年の宿敵との再会を心から喜ぶような、歪んだ歓喜の声だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。