第三話 遊園地に潜む悪意――終了
『そうだ。そして奴らの戦闘力は、一般のパラサイトグリードとは比べ物にならない。例えるなら、お前が今まで戦ってきた霊体や半霊体、あるいは受肉した怪物たちは、奴らにとっては手足に過ぎない』
「それほどの存在が、なぜ俺を?」
『うーん、それは分からないが……可能性としてはディメンダムの契約者だからだろうな。我々巨神は、神話の時代から奴らと敵対してきた。奴らがこの世界に完全に顕現するのを防ぐために、何度も戦いを繰り返してきた。そして、今また奴らは動き出した。おそらく、この時代に何か大きな計画があるのだろう』
私は立ち上がり、窓辺に歩み寄った。夕日に染まる街並みを見下ろしながら、深く息を吐く。
「ピエロは単なる実験体だった。奴らは俺の力を見極めようとしている。そして、これから本格的に動き出す……」
『おそらくな。だが、奴らがお前を試しているということは、まだ本気ではないということだ。今のうちに準備を整えよ。七つの闇すべてが目覚めた時、戦いはさらに苛烈になる』
私は窓ガラスに映る自分の顔を見つめた。
その目には、疲労の色が濃く残っている。
だが、それ以上に強い決意の光が宿っていた。
「分かった。あいつらの力が必要になるな」
『ああ。奴らも時が来れば目覚める。その時まで待つしかないだろう。そして、主はまず傷を治すことだな。体が本調子でないと、勝てるものも勝てないぞ』
「だな」
私は窓辺から離れ、再びベッドに腰を下ろした。しかし、頭の中はすでに次の戦いへの準備で埋め尽くされていた。
七つの闇。デスシャドウという王。そして、私を試そうとする存在たち。
「負けるわけにはいかないな……」
私のつぶやきに、ディストレイが静かに応えた。
『もちろんだ。我々はこれまでも負けなかった。そして、これからも負けるつもりはない』
「ああ。必ず奴らを阻止してみせる」
私は拳を強く握りしめた。左腕のブレスレットが、私の決意に呼応するかのように、三色の光を強く放った。
これから待ち受けるであろう困難を考えると、不安がないといえば嘘になる。だが、それ以上の使命感が、私を奮い立たせていた。
「さあ、飯でも買ってこよう。腹が減っては戦はできぬって言うからな」
私は財布を手に取り、外出の準備を始めた。明日からの戦いに備えるために、まずはエネルギー補給だ。
アンティーク紅の店舗部分を横目に、夕闇迫る住宅街へと足を踏み出す。
街灯がぽつぽつと点き始めた路地でふと立ち止まり、空を見上げた。
星がいくつか瞬き始めている。
この平和な日常が、いつまでも続くように。
そのために、俺は戦う。




