第三話 遊園地に潜む悪意――現れる上位存在。そして――
そして最後――私との戦い。『受肉』を強制され、苦しみながら消滅していくピエロの断末魔。
「あ……あの方……なぜ……」
その叫びが、闇に吸い込まれていく。
すべての映像が消え、あたりは深い闇に包まれた。
私はその闇の中に立ち尽くしていた。ピエロの人生を追体験した重みが、胸にのしかかる。彼は確かに加害者だった。
許されることではない。
だが、その根底にあったのは、ただ純粋な「寂しさ」だった。誰かに必要とされたかった。誰かと一緒に遊びたかった。その願いが歪められ、悪意ある存在に利用された。
「愚かなピエロだろ?」
不意に、背後から声がした。
振り返る。
闇の中に、一際濃い影が立っている。それは人の形をしていたが、全身が闇そのもので構成されているようだった。輪郭はぼやけ、時折その表面に無数の苦悶の表情が浮かんでは消える。
『誰だ、お前は』
私の問いに、その存在は気味の悪い笑みを浮かべた。口が裂けるように広がり、内部からおぞましい光が漏れ出る。
「我らパラサイトグリードの王、デスシャドウ様を守護する七つのパラサイトの一つ」
声は多重に響き、耳ではなく直接脳髄にこびりつくような不快さがあった。
「寂しさを司りし我が名は――ナイトメア」
ナイトメア。
その名前に、私の背筋を冷たいものが走る。
『デスシャドウ……それが、お前たちの王の名か』
「そうだ。そして、お前は我らが王の計画にとって、非常に興味深い存在だ。紅翔太――ディメンダムの契約者よ」
ナイトメアが一歩、近づく。
その足元から、闇がじわじわと広がっていく。
『どういう意味だ?』
「残念だが、それをお前に教える義理はないな」
『それは……そうだな』
「ご理解いただけて何よりだ。それにしても、ピエロは良い実験体だった。お前の力を見極めるにはな。『浄化の炎』、『裁きの雷』、そして『永久の氷』……そして巨神ディストレイ。素晴らしい。実に素晴らしい」
『実験……だと?』
「そうとも。我らが王は、お前を試している。そして、これはまだ序章に過ぎない。七つの闇がすべて目覚めた時、お前は本当の絶望を知ることになるだろう」
ナイトメアの笑みが深まる。その闇の体が、周囲に溶け込むように薄れ始めた。
「楽しみにしているぞ、紅翔太。次に会う時は、もう少し……本気で遊んでやろう。せいぜい、あの者にやられないことだな」
闇が完全に私を包み込み、意識が急速に浮上していく。現実へと引き戻される感覚。
「待て……まだ聞きたいことが……!」




